Intel社の電子ペーパーに対する考え方を紹介する。同社は携帯機器の消費電力を削減できる技術として,電子ペーパーに注目している。電子ペーパーを搭載した携帯機器が大きな市場を獲得するには,紙を用いた情報提供の市場を徐々に置き換えていくことが必要と主張する。(宇野 麻由子=本誌)

Thomas E. Holder
米Intel Corp.
Strategic Investments
Intel Capital


 米Intel Corp.は,マイクロプロセサの企業として知られている。しかし,1年ほど前,我々は「プラットフォーム」を提供する企業への転換を図った。プラットフォームは,マイクロプロセサだけではなく,機器に必要なチップセットやソフトウエアなどで構成される。言葉を換えれば,機器を作るための「ソリューション」を提供するということだ。本稿では,電子ペーパーを用いた機器のプラットフォームについて,我々の考えを示したい。

 我々が電子ペーパーに注目する背景には,ユーザーがコンピュータに求める要望の変化がある。1960~1970年代にかけては,高い性能に対する要求だけが強かった。各社独自の技術を用いた汎用大型コンピュータが主流だったころだ。その次に,標準のマイクロプロセサを使ったコンピュータの時代が来た。これは,ユーザーが性能だけでなく,価格の低さも求めるようになったことによる。Intel社は,この時代の変化に即して,DRAMの企業からマイクロプロセサの企業へと姿を変えた。