これまで出力(出力密度)と容量(エネルギー密度)の増大だけを追い求めてきた蓄電装置。そこに新たな競争軸が生まれつつある。それは,数μm~数百μmと極めて薄く,曲がるという特性だ。これまでもゲル状の電解液を使って,数mm程度と薄くて曲がることをウリにしたLiポリマ2次電池はあったが,この特徴を十分に生かせる用途がほとんどなかった。薄さだけを生かして,曲げることなく機器のわずかなすき間に入れるといった使い方が主流だった。
ここへきて化粧品だけではなく,さまざまな製品が薄くて曲がる電池を求め始めた。電子ペーパーを手掛ける技術者は「数年内の実用化を目指して薄くて曲がる電子ペーパーの開発を進めているが,電池には手を着けていない。どこか,薄くて曲がる電池を提供してくれないか。早くしないと実用化に間に合わない」と焦りの色を見せる。