医療界と一般社会の壁を取り除く“医領解放”をコンセプトに掲げ、複数の医療関係者などが次世代の医療環境を実現しようと集った「Team 医療3.0」。2015年2月8日に神戸市で開催された「第5回神戸医療イノベーションフォーラム」では、この中から6人のメンバーがICTなどを活用した先進的な取り組みの進捗を紹介し、医領解放に向けたイノベーションの重要性を強調した(第5回神戸医療イノベーションフォーラムの(関連記事))。

活動量計を診察券化

 「医療健康情報共有によるQOLマネージメント・コンセプト」と題して講演したのは、習志野台整形外科内科 院長の宮川一郎氏。

宮川氏
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 宮川氏はまず、iPadを用いた問診票ツールや患者説明用のIC動画、受診歴や処方歴、検査内容などを集約した診察券ICカード運用の試みなどを振り返った。その延長線として現在検討しているのが、NFC対応の活動量計に患者IDを取り込んで診察券にすると同時に、健康データを医療機関で取り込む仕組みである。

 宮川氏は、活動量計の診察券化の目的の一端を次のように説明した。「我々は診察や検査結果などに基づいて診療プランを立て、実行したことをチェックするというPDCAサイクルを回す。しかし、診察や検査はその時点での身体状況に過ぎず、マネジメントしてのPDCAサイクルは回っていない。患者の健康データをいかに収集して診療に生かすか、また患者自身が健康に対する気づきや行動変容を喚起する仕組みが今後重要になる」(宮川氏)。その上で、これからの医療は医療だけではなく、健康情報と一体化して管理していく必要性を強調し、「健康データをいかに取得し続けるかが大きなテーマだ」(同氏)と述べた。