電子機器やネットサービスが大ヒットを飛ばすには、優れたユーザー体験 (UX: User Experience)の提供が欠かせない--。米Apple社のiPhoneやiPadの成功を機に、UXへの関心が高まっています。ただし、「ユーザーの体験」と言われても、具体的に何を指すのか、イメージできる人はそう多くはありません。ましてや、電子技術者にとって、UXデザインは自分の仕事と関係ない、畑違いの業務にも見えます。

 この認識は必ずしも正しくありません。製品がもたらす体験を適切にデザインする手法は、ここ数年で急速に整備されてきました。こうした手法によるUXの設計過程では、機器やサービスの「あるべき姿」を描く上で、極めて多くの知見が得られます。製品を実現する技術者が、UXのデザインプロセスに参画することは、革新的な商品を生む上で重要な意味を持つのです。

 本連載では、UXデザインの基礎の基礎を、日経エレクトロクニスの過去の記事に加えて、同分野の専門家である千葉工業大学准教授の安藤昌也氏の寄稿で描き出します。安藤氏は本連載の実践編として、8月28日(木)開催のNEアカデミーでUXデザインの実際を語ります。参加型のワークショップも盛り込んだ、実地で学べる内容です。ぜひご参加下さい。詳細はこちらのサイトを御覧ください。