東大の馬郡氏
東大の馬郡氏
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 これから社会で使われるセンサーの数は、どんどん増えていく。現在の100倍規模の毎年1兆個を超えるセンサーが活用されるとの見方が出てきており、「Trillion Sensors Universe」の早期実現を目指すグローバルな動きが広がっている。「Trillion Sensors Universe」を提唱しているJanusz Bryzek氏(米TSensors Summit社Chair)は、2033年に45兆個のセンサーが使われるとの見方を示す「(Trillion Sensors Summit Japan 2014」における同氏の講演予定の「詳細」を参照)。

 しかし、膨大な数のセンサー需要が見込まれても「センサー自身が今のままなら(普及に)限界が訪れる」と指摘するのは、東京大学生産技術研究所特任講師の馬郡文平氏だ。

 馬郡氏が、このような指摘をするのは、建築分野でさまざまなセンサーを使った際の課題が既に見えているからである。同氏は、大手ゼネコンで建築設計を手掛けてきた建築分野の研究者。その経験から、センサー設置時には人的なミスが入り込み、多くのセンサーを導入しようとしても管理しきれなくなると危惧している。現在、ビルや住宅、商業施設などで「例えば1000カ所にセンサーを配置すると、その3%は敷設ミスなどで誤った情報を出している」と言う。つまり、せっかく高精度のセンサーを密に張り巡らせても、うまく生かせない恐れがある。