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第3回:技能伝承の仕組みを導入する

長沢亮=テクノ経営総合研究所 ものづくりセンター長
2013/01/10 00:00
出典:日経ものづくり、2012年11月号 、pp161 (記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
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 製造業にとって、生産性の維持や向上と同じくらい重要な課題が、人材の育成である。人材育成は、科学的な改善手法であるVPMが重視する人の価値を高めることに直接つながっている。そのため、VPMには具体的な人材育成法が組み込まれている。その典型例が「技能の伝承」である。熟練した技能者の技能を若手が身に付ければ、人材としての価値を大きく高められる。

 生産の4 条件は、「人」「設備」「材料」「造り方」といわれている。ところが4条件が形式知としてそろっても、高品質・高生産性で、しかも安定した生産はできない。なぜなら、生産現場では、形式知の他に暗黙知による膨大な技能が必要だからだ。

 幸運にも今までの国内の生産現場は、誰が言うともなくこれらの継承が比較的円滑に行われてきた。しかし、昨今の不況や少子高齢化による人員減の影響により、現場の暗黙知による技能が急速に失われている。多くの企業で作業者の熟練度が落ちており、不慣れな作業が品質低下の要因となっているし、設備保全のトラブルや人的ミスによるトラブルも増えている。

 従って、これからのものづくりでは、これまで管理されてこなかった暗黙知に基づいた技能を一つひとつ定義して評価し、教育により確実に次世代に継承させる仕組みが必要となる。VPMでは、ものづくりに必要な要素を、「技能」「明確に認識されていない知識」「情報」「治工具」の4つに分けて考えている(図4)。そして、技能に含まれている暗黙知を段階的に情報や治工具として形式知に転換していくプロセスを組み込んでいる。

図4●VPMに組み込まれている技能伝承の流れ
図4●VPMに組み込まれている技能伝承の流れ
VPMは技能の中にある暗黙知領域に対して情報化や治工具化を行い、形式知に転換していくプロセスを組み込んでいる。いったん情報にした上で、治工具に落とし込むというアプローチもある。

 このような、暗黙知に根差した技能を形式知化する改善プロセスをVPMは「第3の改善」と位置付けて積極的に取り組んでいる。ちなみに第1の改善は、現場で日常的に行われている生産性向上のための作業改善、第2の改善は、提案制度などによる製品改良などの改善である。次回からは、こうした3つの改善から成るVPMの詳しい内容を紹介していきた。

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