Yoon-Woo Lee氏

 われわれは,メモリーのトータル・ソリューションの提供を目指す。厳しい事業環境の下で生き残るためには,強みを発揮できる製品に選択・集中してナンバー・ワンとなりデファクト・スタンダード化を実現すべきだと考える。リストラによって事業規模を縮小するだけではダメである。2002年のLSI 需要はそれほど良くならないだろうし,企業の合従連衡や半導体事業の撤退といった構造変化が加速するだろう。

 メモリーは応用機器ごとに消費電力,容量,スピードなどを最適化しなければならない。例えば,携帯電話向けの低電力DRAMである。シンクロナスDRAMは128Mビット品を減らし,256Mビット品をメインにする。こうした差異化によって他社と真正面から競合するのを避ける。アプリケーションはパソコン(PC)以外にケータイや家庭用ネットワークの中心になるホーム・サーバーなどがある。高速スイッチング用に「FCRAM」,携帯電話用には擬似SRAMを準備している。フラッシュ・メモリーのNOR型はまだ研究段階であり,MRAM(magnetic RAM)や相変化メモリーも研究所で検討している段階である。事業化するのは0.1μm以降で,2005年より先になるだろう。

 0.1μmは大きな壁である。リソグラフィ技術とキャパシタの材料技術が課題となる。リソグラフィはKrFと一部ArFを組み合わせる。キャパシタは円筒のスタック,材料はTa やAl2O3 などを検討している。0.1μmで実際にはコスト・アップになる可能性が出ているため,設備の値段を下げるための開発を製造装置メーカーと共同で進めている。

 システムLSIは,まず社内向けを中心にしていきたい。ディジタル・テレビや携帯電話向けなどである。システムLSI とメモリーは事業としてシナジー効果が得られることから一緒に展開した方が良いと考えている。(談)


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