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HOMEクルマGT-Rの開発 > 第5回:実力の萌芽(上)

GT-Rの開発

第5回:実力の萌芽(上)

  • 高野 敦=日経ものづくり
  • 2012/04/24 00:00
  • 1/2ページ

【前回より続く】

仲田直樹
日産自動車パワートレイン開発本部パワートレイン第一製品開発部ガソリンエンジン製品開発グループ 主担 (写真:栗原克己)

 「この中で400馬力以上のクルマに乗ったことがあるという人,手を挙げて」

 高揚感に包まれていた室内に緊張が走る。手を挙げる者は,いない。

 「GT-R」の商品企画と開発の責任者を務める水野和敏は,主要なメンバーを集めたキックオフ・ミーティングの場でいきなりこう切り出した。時は2004年1月。役員へのプレゼンテーションを終えてすぐのことである。

 日産自動車の技術者たちにとっても,GT-Rは特別なクルマ。いつかGT-Rに携わることを夢見て会社の門をたたく者も少なくない。だが,実際にかかわれるのは一握り。GT-Rとは無縁のまま技術者としての人生を終える者の方が圧倒的に多い。その場にいた技術者たちが,地に足着かぬ心境だったとしても何ら不思議ではなかった。水野はそうした雰囲気を感じ取り,あえて水を差すような言葉を投げ掛ける。

「これは何か狙いがあるな」

 エンジンの開発を担当する仲田直樹は,脳裏で水野の真意を読み取ろうとしていた。水野と同じくレース車両の開発経験を有する仲田は,その時点で,400馬力以上のクルマに乗ったことがあった。だから手を挙げようと思えば挙げられた。だが,挙げない。きっと,何か大切なことを伝えようとしているのだ。

 GT-Rの発売時期を2007年末として,そこから逆算すると開発期間に使えるのは3年半。そのうち半分近くの1年半を,水野は“人づくり”に費やすつもりと初めから決めていた。冒頭の発言は,いわばその宣言。仲田の読みは当たった。水野は,当時を次のように振り返る。

「我々が造ろうとしていたのは,日産の技術者たちが乗ったことのないようなクルマ。社内の知見だけで造れるものではなかった。そういう意味では,我々は素人の集団。それを闘える集団へと変えなければ話にならない。人づくりには時間がかかる。クルマ造りは,残りの2年が勝負と考えていた」。

寄せ集めでは不十分

 もちろん,水野が集めたのは,いいクルマのユニットを造ることに関しては社内でも選りすぐりの技術者ばかりである。だが,そのメンバーをもってしても,自分が思い描く理想のクルマを造るには決して十分ではないと水野は考えていた。

 一般に自動車は,工業製品の中でも代表的な「擦り合わせ型」とみられている。エンジンや変速機,ボディなどのユニットが相互に影響を及ぼすので,最高のユニットを組み合わせたからといって,必ずしも最高のクルマになるとは限らない。何か一つが突出しているよりは,全体が高いレベルで調和している方が望ましい。それが擦り合わせ型といわれるゆえんだ。

 ならば,現実はどうか。擦り合わせの要素を残しながらも,自動車の開発現場では分業化が進んでいると,水野はみている。ユニットとして優れたものを組み合わせておけば,最高のクルマは無理としても,そこそこのクルマなら造れる。大衆車を主力とするメーカーとしては当然の選択なのかもしれない。実際,大衆車メーカーはそのようにして利益を確保し,企業を存続させてきた。水野も,分業制の意義をすべて否定しているわけではない。

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