ピッチを上げて製品開発を進める技術者たち。
しかし待っていたのは,次々に降りかかる技術的課題だった。
「手を動かすしかない」,そう腹をくくり彼らは問題に取り組んだ。
そして1999年春,苦労が実って製品試作品が完成。
吸い込み仕事率は570W相当と当時最高レベルを達成した。
この成果を手に新商品会議に臨んだ彼らだったが・・・。
1999年春,三洋電機本社では秋に発売予定の家電製品を社内向けに説明する会議が開かれていた。各製品を集めてお披露目する,というのが趣旨である。
それぞれの製品の技術担当者と製品企画担当者が,次から次へと新製品の内容をプレゼンテーション形式で発表していく。発表の趣旨がお披露目だけに,特に目立った意見もなく,順調に会議は進んでいった。
「排気が少ない」掃除機の発表準備は万端だった。「いままでにない製品だけに,誤解があるとまずい。ていねいにわかりやすく説明しよう」。そう考えて技術と製品企画の担当者が,発表内容を練りに練ってまとめ上げた。
製品名もすでに用意してある(図1)。「直感的に還流式の掃除機の仕組みを感じさせる名前がいい」。製品企画担当の日向氏から,そう指示を受けた谷川氏と西澤氏が,響きの良さそうな名前を探して奔走した(図2)。回転機事業部内でアイデアを募り,社外のコピー・ライタにも提案してもらい,苦労の末やっと,「これぞ」という案を見つけることができたのだ。