地球環境問題が深刻化する中で、「多様化する顧客要求に応えつつサステナブルな世界をつくるものづくり」という命題に産業界は直面している。顧客は製品の多様化を望むが、それによって部品種類が増え製造設備も増えて、ひいては地球にストレスを与えることは許されない。そこで近年注目されている手法が、製品の多様化と部品の共通化という相矛盾するテーマを両立する新しい方法論としての「モジュラーデザイン」である。

モジュラーデザインとはどのような考え方で、どのような手法なのか。また、モジュラーデザインを実現するには、どうすればよいのか、第一人者である日野三十四氏に解説してもらう。(日経ものづくり)

日野三十四(ひの・さとし)
モノづくり経営研究所イマジン 所長
1968年東北大学工学部卒業、自動車メーカーに入社。1980年経営管理・経営工学・TQCなどの研究に傾斜、トヨタ自動車のビジネスプロセス・ベンチマーキングを開始。1988年技術管理部門へ依頼転籍、技術情報管理、技術標準化、モジュラーデザイン、ISO9001推進、設計品質改善、製品開発プロセスシステム化などを推進。2000年経営コンサルタントとして独立。2004年広島大学大学院社会科学研究科教授。2008年広島大学を退職して現在に至る。著作に『トヨタ経営システムの研究―永続的成長の原理―』(ダイヤモンド社、韓国/台湾/米国/タイ/中国/ブラジルで翻訳出版、2007年に米Shingo Prizeから研究賞受賞)、『実践 モジュラーデザイン―時代が求めていた新しい解―』(日経BP社、韓国で翻訳出版)など。