COLLEGE 製造業の“本当”を探求
 

第5回:部品と頭は使いよう(上)

宇野 麻由子
2010/04/13 00:00
出典:日経エレクトロニクス、2007年1月29日号 、pp.108-110 (記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
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前回から続く)
本体と放出機構
MINERVA本体と放出機構。MINERVA本体は591g。全体で1200gである。写真はアイ・エイチ・アイ・エアロスペースが提供

「もしもし。今度出るノート・パソコンの『PCG-C1』について,聞きたいことがあるんですが」

「はい,どのようなことでしょうか」

「内蔵カメラのレンズなんですけど,材質はガラス,それともプラスチックですか。それと,インタフェースがどうなってるのか知りたいんですけど」

「…技術的な内容についてのお問い合わせですね。大変恐縮ではございますが,こちらの窓口ではお答えしかねます。後日,担当者から連絡させますので…」

 こんなこと聞いても分かんないかな―。半信半疑でかけてみた電話先で,単刀直入に切り出した齋藤浩明の質問に対し,女性の反応は意外にも普通だった。

 1998年秋,アイ・エイチ・アイ・エアロスペース注1)の齋藤は,小惑星表面探査用小型ロボット「MINERVA」に使う部品の選定に奔走していた。特に頭を悩ませた部品がMINERVA内部のわずかなすき間に実装できるカメラである。ようやく見つけたのが,液晶画面の「額縁」にカメラを組み込んだソニー製のノート・パソコンだった。このカメラが欲しい。ソニーに何の縁もない齋藤は,取り急ぎ一般消費者向けのお客様相談センターに電話した。

注1) アイ・エイチ・アイ・エアロスペースは,2000年7月に石川島播磨重工業に買収されて同社の子会社になった後の社名である。当時は,日産自動車の宇宙航空事業部だった。

 その3日後,齋藤の元へソニーの技術営業担当者から本当に連絡が入った。トントン拍子に話は進み,1998年末,齋藤はソニーを訪れ自分たちの計画の説明に臨む。居並ぶ技術者を前に,齋藤は熱弁を振るった。

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