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第3回:コミュニケーション・ミス発生の理由

Tech-On!
2010/03/23 00:00
出典:日経エレクトロニクス、2009年7月27日号 、pp.104-106 (記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
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前回から続く)

 プロジェクト成功には条件があります。(1)プロジェクトを成功させるという強い意志とリーダーシップ,(2)プロジェクト・マネジメントの方法論に関する知識とスキル,が大切です。さらに不可欠なのが,(3)プロジェクトにかかわる問題解決や人間関係を円滑にするコミュニケーション力,です。

 ここでは,プロジェクト・マネジメントの中で必要になるコミュニケーション力について解説していきます。プロジェクトの最中に起こるトラブルの大半は,コミュニケーション・ミスに原因があるといっても言い過ぎではありません。

 まずは,ある印刷機メーカーの開発プロジェクトで発生した問題を見てみましょう。

<事例>伝わらなかった設計変更

 A社は,ビンやパッケージといった立体物に印刷をする特殊な装置を作っているメーカーです。この印刷装置は,装置全体の筐体構造,印刷,印刷物の搬送機構,画像位置制御,電気系統に分かれており,それぞれを五つの設計グループが担当しています。

 あるとき,その装置の保守部門の責任者が,仕様変更を依頼してきました。保守部品の取り付けや取り外しを容易にするためには,ユニット交換用の搬送機構と筐体構造の設計を変える必要があったからです。小変更であり内容に問題はないため,プロジェクト・マネジャーは設計変更を受け入れました。

 その次の週,進捗会議に保守部門の責任者も参加し,設計図を確認しました。搬送機構の取り付けや取り外しの方法は,きっちり変更していました。筐体構造もおおむね依頼された通りに設計変更していたのですが,一部スペースが狭くなっており,そのままではユニット交換ができないことが判明しました。早速関係する設計グループを召集し,変更内容を再確認した後で設計を修正し,問題を解消しました。

 幸いにして製造工程に入る前に発見できたため,プロジェクト上では大きな問題に至らなかったのですが,この後の対応策について,適切なものを下記から選択してみましょう。

A案 設計変更でミスをした筐体構造設計の責任者を呼んで,厳重に注意する

B案 問題は解決したので,事を荒立てない

C案 今後,進捗会議でプロジェクトの状況の詳細な報告を義務付ける

D案 変更情報の指示・伝達・報告の実態と問題点を調べる

A案は,現象面への反射的な対応です。本人の不注意があったとしても,プロジェクト・マネジメントとしては,問題の再発防止を考えた根本的な対応を取る必要があります。

B案の対応は,明らかに甘さがあります。厄介な人間関係を避けたい気持ちは分かりますが,仕事への取り組みやプロジェクト運営の姿勢が問われます。マネジャーやリーダーは,小事といえども問題の背景を見過ごしてはなりません。

C案は一つの方法ですが,この問題の根本原因を押さえていないのは良くありません。進捗会議の効率に悪影響を及ぼす可能性があります。

D案が最適な対応といえます。問題への対症療法的な取り組みではなく,問題の要因について根本的なところまでさかのぼれば,なぜ一部に変更要求情報が伝わらずミスが発生したのか,プロジェクト・チームでのコミュニケーションの在り方を見直して対策できる良い機会になります。

 この事例では,変更情報は関係するすべての設計者に漏れなく伝達されていました。しかし,筐体の設計者の経験がやや浅く,保守部門の変更依頼の狙いを深く考えないで自分なりに解釈し,過去の似たような仕様変更と同じように進めたことが失敗の原因でした。勝手に解釈しないで,プロジェクト・マネジャーあるいはリーダーに一言相談すれば問題にならなかったでしょう。

 ただし,そうした状況を把握できなかった粗いプロジェクト・マネジメントも問題だったといえます。規模や工数が大きい変更案件の場合は,変更情報を必要な関係者に伝達するだけでなく,いつまでにどう実施するか,予定を必要に応じてドキュメントで出すように指示することも考えるべきです。

 ちょっとしたトラブルは,しばしば発生します。人間のコミュニケーションでは,「伝えた」だけでは意思疎通が不完全なことがよくあります。

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