前回から続く)

 開発項目は,太陽電池やマイクロ波送電技術のほかに,電力マネジメント,輸送,安全など多岐にわたる(図17)。それぞれの分野で,着々と準備を進めている。

図17●実現に向けた課題は多い
図17●実現に向けた課題は多い
SSPSの実現に向けた開発項目の例。太陽電池のほかに,集光技術や電力マネジメント,安全といった項目の開発が必要になる。JAXAの資料を基に本誌が作成。

 例えば,マイクロ波の送受電技術については,京都大学と共同で疑似太陽光発送電装置を開発した。ハロゲン・ランプ133個で構成した疑似太陽光や太陽電池,マイクロ波発振回路,送電アンテナ,1848個のアンテナからなる受電アンテナで構成する。

 このほか,宇宙での構造物の建設に向けた検討もしている。例えば,反射ミラーの試作である(図18)。反射ミラーは,アルミを蒸着したポリイミド・フィ ルムで構成した。その反射ミラーを織り込むように直径約49cmの六角形の構造物に収めておき,その後,直径が2倍以上の約110cmまで展開する。

図18●反射ミラーを試作
図18●反射ミラーを試作
アルミを蒸着したポリイミド・フィルムで構成した反射ミラーを,直径約49cmの六角形の構造物に収めた後に,直径が2 倍以上の約110cmまで展開した。JAXAとサカセ・アドテックのデータ。

 具体的には,チューブに空気を送り込んで膨張させることで,織り込むように収納しておいた反射ミラーが自然と展開するようにした。質量は約785gと軽い。サカセ・アドテックに委託して試作した。