家電・モバイル ボリュームゾーンの最新動向を知る
 

第6回:「電子の本」の普及の扉,ケータイと電子辞書が開く(2)

堀切 近史,小谷 卓也
2009/07/03 00:00
出典:日経エレクトロニクス、2003年7月21日号 、pp.108-113 (記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
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(前回から続く)

縦書きで約300文字を表示

 それではなぜ今,急に携帯電話機が読書端末へと変貌し始めたのだろうか。それは2002年~2003年にかけて,3つの面で読書端末として実用に堪える能力を身に付けたからだ。(1)実際の書籍の1ページ分と同等の文字数を一度に表示できるディスプレイの採用(図6),(2)Javaアプリケーション・ソフトウエアが利用できるデータ容量の拡大,(3)小型メモリ・カード用スロットの標準装備,である。

図6 ディスプレイの進化がケータイを読書端末に
携帯電話機が読書端末化する理由の1つは,搭載するディスプレイの性能向上にある。数年前まで携帯電話機のディスプレイは,アドレス帳や電子メールの利用を賄えれば十分だった。現在の携帯電話機の最新機種は,画素構成がQVGA(320×240画素)で精細度は最大180ppi(pixel per inch)に達する。この場合,ミニ文庫本と同等の文字数を1画面に表示できる。進化の次の目標は印刷画質の表示である。既に液晶パネルで精細度 300ppi以上は見えている。紙の印刷物と同等の文字品質を得ようとすれば,反射型のディスプレイを使うなら反射率は50%以上,コントラスト比は10 対1以上を達成する必要がある。一方,写真の色再現性を印刷物に近づけるには,ディプレイの色再現範囲を広げて「Adobe RGB」に対応させる必要がありそうだ。
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 まず(1)の文字数の表示能力から見ていこう。最新の携帯電話機の1画面に表示できる文字数は縦書きで約300文字(図7)。通常の文庫本の1ページ当たり約600文字には劣るが,いわゆるミニ文庫本とほぼ同等の文字数である注9)

注9)角川ミニ文庫は,文庫本よりもひと回り小型の書籍シリーズである。角川書店が1996年に創刊した。現在までに150点を刊行している。通常の文庫本のように再販制度に基づく流通ではなく,各書店が買い切る形態を取る。最近は新刊がほとんどないことから,取り扱っている書店は減ったという。

図7 1画面に収まる文字数はミニ文庫本とほぼ同じ
市販のミニ文庫本「生きるヒント」(角川ミニ文庫 五木寛之著)の1ページ当たりの文字数は308文字である(図中の(1))。一方,書籍データの配信サービス「ケータイ電子書店 SpaceTownブックス」でダウンロードしたコンテンツを,画素構成がQVGA(320×240画素)の液晶パネルを搭載する携帯電話機「J-SH53」に縦書きで表示すると((2)),1画面に収まる文字数は300文字となり,ほぼ同数であることが分かる。ただしJ-SH53が表示する1文字当たりの面積はミニ文庫本に比べて約2/5と小さい(文字サイズを「小」にした場合)。なおミニ文庫本の外形寸法は約83mm×111mmであり,通常の文庫本に比べるとひと回り小さい((3))。
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