前回、移動通信の標準化団体である3GPPについて説明しました。今回は、3GPPで始まった、5Gに向けた議論の様子についてお伝えします。

 第5世代移動通信システム(5G)は2020年の実用化をめざしていますが、3Gや4Gと同じく今後も3GPPを舞台に標準化される見通しとなっています。ただ、その標準化作業は、まだやっと一歩目を踏み出した段階です。議題も具体的なものではなく、今後どのように標準化を進めていくかについて議論している段階です。3GPPの標準化スケジュールは、基本的には直近のリリースに向けて立てられていますので、今後5Gの標準化をどのように進め、いつまでに仕様書を発行するか、またどのような技術を盛り込むかはこれからの議論で決定することになります。

 仕様の本格的な議論に先立ち、現在3GPP内のワーキンググループの1つであるTSG SA WG1にて、5Gに向けて期待されるユースケースの検討が始まっています。TSG SAとは3GPPの中でもサービスやアーキテクチャーを中心に、要求事項や処理手順などの仕様を策定するグループになります。その下のワーキンググループであるWG1はサービス仕様、要求条件に特化したWGです。