今回も前回に引き続き、「ことづくり」への拡張や「三つの鍵」以前に考えないといけないビジネスの基本的な必要条件について述べていきたいと思います。これが今後の「ことづくり」や「三つの鍵」への話の展開への礎となっていくからです。

 前回のコラム『新しいビジネスの仕組みを創る(1)「困った」を見つける』では、まずビジネスには何らかの仕組みやこれを展開するための仕掛けが必要であることを述べました。そして、その仕組みが満たさないといけない点はただ一つ、「提供価値」と「ニーズ」のマッチングであるとし、この「提供価値」と「ニーズ」のマッチングが自然にうまく図れてしまう方法として「困った」を見つける方法をご紹介しました。

 この「困った」を見つける方法は、見過ごされていたり気づかなかったりして隠れていた「困った」が見つかった場合、「提供価値」と「ニーズ」のマッチングが自然と取れるために、大変大きな力を発揮します。

 経営学者として(自身では社会生態学者と名乗っていました)有名なピーター・ドラッカーは、マーケティングを「顧客をよく知って理解し、製品(サービス)が顧客にぴったりと合ってひとりでに売れてしまうようにすることであり、買わないことを選択できる第三者が、喜んで購入してくれるものを提供すること」と定義しています。実はドラッカーのこの定義を自然と満たしてしまう方法の一つが「困った」を見つけることだからなのです。