本連載も第1回目(2012年1月)の開始から1年半を費やしてしまった。執筆が大きく遅れると心配してメールを下さった方をはじめとする読者の方々に感謝しながら、今回と次回をもって本連載の締めくくりとしたい。

日本の製造業の構造改革に千載一遇のチャンスが訪れている

 本連載第1回目に、筆者は「日本の製造業は戦後最大の岐路に差し掛かっている」と書いたが、その基本認識は今でも変わっていない。しかし、この1年弱の間の変化によって、現在は、日本の製造業が岐路を選択して進むに当たり、千載一遇のグッド・チャンスが訪れていると思っている。それは日本の“ものづくり”立国復活へのチャンスでもあるのだが、同時に、本連載の主旨として強調してきた、次のステージとすべき“もの・ことづくり”(本連載第2回参照)への構造変革のチャンスと考えるからである。誤解を恐れずにいうと、それは労働コストや生産性効率に重きを置いてきた製品中心の競争から、「優れた製品と最終的な顧客価値」での競争へのシフトである。