――技術出身の調達・購買担当者が活躍する場は、今後広がっていくと思っていいのでしょうか。
坂口氏:それでいうと、「開発購買」はまさにそうですね。開発購買という言葉は個人的に嫌いなのですが、その開発購買で面白い事例だと思ったのは米Apple社です。
開発購買というのは、技術部門が製品開発の上流段階から調達・購買部門やサプライヤーと一緒に新技術を開発していく取り組みですが、これまでは主に自社の調達・購買部門やサプライヤーの技術者を巻き込んでやるものだと思われていました。しかし、Apple社は何をやっているかというと、サプライヤーの調達・購買担当者とも一緒に開発購買を実施しているのです。
――サプライヤーの調達・購買担当者も参加している。
坂口氏:そうです。Apple社からすれば、日本の電子部品メーカーの調達・購買担当者と一緒に活動しているわけです。サプライヤーの技術者だけではなく、調達・購買担当者もいるというのが珍しい。
例えば、部品の原材料調達について最も詳しいのは、調達・購買担当者です。だから、原材料レベルから部品を新規開発しようというときには、最初からサプライヤーの調達・購買担当者を入れておいて、彼らの意見を取り入れつつ進めるのです。これは、新しい形の開発購買だなと思いました。