皆さん、こんにちは。今回は前回の続編として、いま世界最速の中国のスパコン「天河2号」と、今後のスパコンの存在価値やコンピューティング・リソースの考え方について、書いてみたいと思います。繰り返しになりますが、本記事はあくまで筆者の個人的な見解ですので、あらかじめご了承ください。

天河2号の中身とマニア心をくすぐる「FT-1500」CPU

 初めに、前回の記事でも取り上げました、2013年6月発表のTop500で世界最速となったスパコン、天河2号の中身についてごく簡単に解説していこうと思います。

 まず、注目すべきは「トータル312万CPUコア」というものすごい物量です。このコア数はIntel Xeonプロセッサ(CPU部分)とIntel Xeon Phi(コプロセッサ部分)の合計となっています。CPU部分だけでも3万2000CPUが搭載されており、この物量だけみても世界最速にふさわしい規模であることが分かっていただけるはずです。皆さんが普段使っているPCのコア数は2~4くらいだと思いますので(笑)、とにかくモンスターマシンであることが理解できると思います。

 一方、実装はというと、各演算ノード(サーバ)には2基のXeon CPUと、3基のXeon Phiが実装されています。2ノード分を1組のモジュール(XeonCPU×4基+Xeon Phi×1基で構成されるCPMモジュールと、Xeon Phi×5基で構成されるAPUモジュールで1組)で構成し、これを束ねていきます。この実装方式(詳細はDongarraレポート「Visit to the National University for Defense Technology Changsha,China」をご参照ください)も、今回は独自なアイデアで実現できていると言っても過言ではないでしょう。ノード間を接続するインターコネクトも、スパコン業界では著名なInfiniBandではなく、THExpress-2を採用しています。実装方式はInfiniBandに近いと思いますが、これも独自方式です。