何だか、もう、何でもあり

 「小排気量のターボ付き直噴ガソリン・エンジン」のような新しいタイプのエンジン開発で、低燃費を実現する動きです。クルマ・サイトでも、人気の記事は電動化とそれに対抗する新しいエンジン技術という構図が、このところ続いています。(関連記事「本当の美しさを認めない風土」

 読者のコメントからも、技術者として、ユーザーとして、大きな期待抱くコメントが少なくありません。

 「(前略)マツダの新ディーゼルエンジン、ホンダの新HEVと、良い競合技術が出てきたのでこれらの状況次第ではPHVへの取り組みも変わるかもしれませんね。今後が楽しみです

 クルマ・サイトのアクセス・ランキングでも、3位にはTech-On!の富岡恒憲デスクがコラム「キーワードで読み解く最新トピック」に寄せた「シリーズ・パラレル・ハイブリッド」が入りました。ホンダが6月に発表したハイブリッド・セダン「アコード ハイブリッド」を軸に、各社が技術力を競う「ハイブリッド車とは?」を解説した力作です。

 7位には、7月19日にホンダが発表したばかりのコンパクトカー「フィットハイブリッド」の紹介記事。ホンダによれば、国内で最も優れた低燃費を実現。JC08モードで、これまで最も優れていたトヨタ自動車のハイブリッド車「アクア」を上回りました。(関連記事「ホンダ、低燃費で国内一のHEV『フィットハイブリッド』を開発---燃費36.4km/Lで『アクア』を凌ぐ」)

 エンジンか、電気か。もちろん、両方を併用するという選択肢もある。さらには、通信技術を使った連携や、自動運転につながる技術開発も。米国のアナリストであるPhil Keys氏の人気コラム「Silicon Valley Insight」によれば、シリコンバレーでは「コネクテッド・カー」が多いに盛り上がっているとか。(関連記事「技術業界は『コネクテッド・カー』の話題で沸騰」)

 彼の地では、自動車関連技術を開発するベンチャー企業に投資するベンチャー・ファンドを設立する動きも活発になっているようです。その期待は、自動運転。Key氏は「ロボット自動車」と呼んでいます。

iPhone」を装着して連携できる、テラモーターズの電動バイク「A4000i」

 まさに今、100年を超える歴史を持つクルマのアーキテクチャーが大きく変わる時代に生きているのでしょう。

 10月に開催されるエレクトロニクス関連の展示会「CEATEC」には、ホンダやマツダ、デンソーなどが初出展するそう。昨年はトヨタの初出展が話題になりましたが、元気のないエレクトロニクス業界の様子を考えると、今年はほとんどクルマの展示会の様相になりそうな雰囲気です。電動バイクでは、スマートフォンを装着できる新型車も話題になりました。(関連記事「ホンダやマツダ、CEATEC JAPANに初出展」、「テラモーターズ、iPhoneを装着可能な電動バイクを販売、価格は45万円」)

 何だか、もう、何でもあり。「四つの車輪がついていて、動力はエンジン、運転するのは人間」。これが旧来のクルマのアーキテクチャーだとすれば、「四つの車輪」の他は大幅に変えようという力が、さまざまな方向から働いています。旧来技術と新技術のギャップ、そして異分野との融合が進む技術開発は、組み合わせが爆発しているように見える。自動車開発の黎明期も同じだったのかもしれません。面白い状況です。

 そのうち、「車輪は四つ」という点も変わるかもしれませんね。オート3輪のように車輪が三つでもいいし、車輪がなくてもいい。「別に足だっていいじゃない」という話が出てきてもおかしくないよね、などと思えてきました。スターウォーズや日本が得意なロボット・アニメ、トランスフォーマーのような風景に社会が移り変わっていく。そんな歴史の端緒を我々は目撃しているのかもしれません。