PLMツールのクラウド対応:
 PLMとしてクラウドサービスの利用を開始するベンダーが出始めている。データそのものは社内に置いて管理し、もっぱら処理機能を中心としたシステムフレームをクラウド化することは受け入れやすいのではないだろうか。あるいは、プライベート・クラウド形態であれば、協業関係の中で有効なシステム選択肢に値するだろう。

サブスクリプション・モデルPLM、OSSの普及:
 本連載第9回で触れたとおり、PLMで歴史のあるベンダーとして知られる米Aras社が、OSS(Open Source Software)ビジネスに近いビジネスモデルにより、市場で実績を蓄積しつつある。これはライセンス料無償でソースの一部を公開し、サポートを保証するサブスクリプションの有償化というビジネスモデルだ。試行(取掛かり)や初期費用面での抜群の敷居の低さは、ユーザー、システム・インテグレーター双方に歓迎すべきビジネス動向である。このようなツールを、これからのPLM構築に賢く活用していけば極めて有効だ。例えば、要求に応じてArasの機能エンジンを組み合わせ、投資を気にすることなく業務プラットフォームを多数構築すれば、既存のPLMツールとの矛盾もない、賢い選択方法となるだろう。あるいは、PLMに大きな投資がしにくいような規模の企業に適した、新しい中核システムとしても期待できる。

 Arasに限らず、ここ数年、OSSを基幹システムの周辺に実装して活用するスタイルが一気に広がりつつある。ユーザーとしても、その敷居の低さやTCOの削減視点はもちろん、特定ベンダーへのロックインからの回避策としても戦略的に活用すべきである。特に図3の[1][4]における機能モジュールとして、OSSの並列処理エンジンや検索エンジンなどを有効に使うやり方を提案する例も出始めている。

 PLMベンダーの技術動向やビジネス動向に加えて、非機能視点で「システム選択の考え方」に影響を与えるものとして、「業種・業態によるシステムのパターン」もある。これについては、次回述べることとしたい。