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ものづくりエディターズ・ルーム@白金

ベテランが去った今、貴重なノウハウの伝達人

ものづくり塾「プラスチックの強度特性を活かした強度設計とトラブル対策」開催報告

  • 近岡 裕=日経ものづくり
  • 2013/04/24 00:00
  • 1/1ページ

 「何か質問はありますか?」

 講義の区切りで講師の本間精一氏がこう切り出すと、受講者からバッと手が挙がります。ものづくり塾では数多くのテーマを設けていますが、本セミナーは質問の多さで恐らく一、二を争うと思います。何しろ、毎回、講義終了後の個別相談で長蛇の列ができるのです。ありがたいことである半面、会場の終了時間に間に合うかとスタッフはいつも冷や汗をかいています。

 感心するのは、講師の回答が実に明快である点です。あらゆる質問にも豊富な知識とノウハウで回答していきます。

「あなたが心配しているのは、短時間側では降伏破壊だが、長期間では脆性破壊ということですね。破壊様式が途中で変わる場合は、この方法で求めるのは無理です」
「濃度と劣化の関係を求めたい? それは予備実験で求めるしかないでしょう」

 ものづくり塾は実務系のテーマが多いため、受講者の目的意識は高いのですが、本セミナーの受講者はとりわけ高いように感じられます。それは、本セミナーが「トラブル対策」を扱っているからでしょう。設計や生産の現場で現実に困っている方が、解決策やそれにつながるヒントを講師に聞くために参加しているという感じが質問内容からうかがえるのです。

 なぜ、困っている人がここまで多いのか、その理由を講師に聞くと、「ベテランがいなくなって困っている日本メーカーが増えているからでしょうね」という言葉が返ってきました。

 樹脂メーカー時代、講師は顧客の現場に足繁く通い、夥しい数のトラブルに直面しては、その原因を分析して解決方法を探ってきました。そうして得たノウハウは当然、顧客に伝えられています。そして、そのノウハウはベテランから次の世代へと伝承されていきました。

 ところが、ここ最近は、団塊の世代の大量退職や企業の人員のスリム化などの影響により、ベテランが職場から居なくなり、若手技術者へのノウハウの伝承が止まってしまっているというのです。一方で、生産拠点の海外シフトが加速し、海外工場などでトラブルが発生して設計者がトラブル対策に奔走せざるを得ない例が増えているといいます。

 講師の現場経験を体系化した本セミナーが人気を集める理由には納得がいきましたが、日本の製造業を応援する本誌の立場からすると複雑な気分です。本セミナーがお役に立てることを切に祈っています。

 2013年5月31日には、本セミナーの実践編である「実践! プラスチックの実用特性と失敗しない設計・成形の進め方」を開催します。ご検討のほどを。

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