前回も述べたように、製造における省エネルギーの本質は、安全に所望する品質を得るために必要な条件を明確にし、必要なときに、必要なだけ、最もよい手段で効率よくエネルギーを供給し、消費することである。
ところが、製造部門にこの話をすると、大抵は笑われて帰される。「必要だから使ってるんだよ」と言う訳だ。ここであきらめるのは言語道断。その必要なエネルギーの量についてアプローチをしていくことこそが正エネの道のりだ。
今回は、三つの視点のうち、「必要なとき」について正エネへのコツを紹介する。
必要なときとはいつか
それは、本来の目的から見て、エネルギーが必要な時間である。その目的のために必要なエネルギー投入時間のことを、付加価値時間と呼ぶ。“正エネ”では、付加価値時間以外のエネルギー投入時間ロスをなくすアプローチだ。いわば、エネルギー消費のJIT(ジャスト・イン・タイム)化である。
「必要なとき」には、気温や湿度、夜間などの「条件・時期」といった大きな分類も含まれるが、今回はプロセス稼働レベル内での視点で紹介しようと思う。時間軸を使って、ものづくりの過程とエネルギー投入タイミングを観察すると、不要な時間が見えてくる。
実際には、消費電力量や、目的状態(加熱状態や冷却状態)などをデータで裏付けたもので分析していくと、より定量的なアプローチができる。応用編として、同じ時間軸を使って状態を「見える化」していくとよいだろう。
このように付加価値時間の観点から時間軸上で損失を発見し、供給・停止タイミングをJIT化していくことで正エネは進んでいく。