わが国の宇宙産業、特にロケット打ち上げ産業は完全に「国内の官需頼り」になっています。この状況については以前に触れさせていただきましたが、実際、2005年の商業ロケット打ち上げの受注はゼロでした。人工衛星については、三菱電機はがんばって持ちこたえていますが、富士通は人工衛星ビジネスから撤退、NECと東芝は宇宙事業を統合しています。

 市場規模でみると、打ち上げや衛星をベースに算出したわが国の宇宙機器産業は約2200億円で、減少傾向にあります。ただ、宇宙産業の裾野は広く、ロケットや人工衛星などの宇宙機器産業を川上とすれば、川下には打ち上げ用などの地上施設から放送・通信サービスまでを含む多彩な産業が広がっています。これら関連分野を含め広く宇宙関連産業としてみると、近年は拡大基調にあり、その産業規模は約5兆4000億円にも達するのです。

 つまり、宇宙関連産業について論じる場合は、ロケットや衛星だけに注目するのではなく、人工衛星を利用したサービスなども含めた広い裾野までも見なければなりません。こうしてみると、宇宙機器産業の川下にある産業はきわめて重要で、かつ将来的にも大きな成長を遂げるであろうことが容易に想像できます。