日本と韓国の現状を比較してみると以下のようになります。韓国は順調に一人当たりGDPを伸ばしていますが、日本はドルベースで下落しています。1993年の一人当たりGDPを見ると、日本は3万5008ドルとルクセンブルグに次いで2位でした。ところが2000年の3位から6年連続で順位を落とし、今や先進国の下位となってしまいました。1980年以降で見ると、順位は今が最低です。為替レートや物価上昇率の問題を含んだ数字なので、これだけをみて一喜一憂する必要はないかもしれません。けれど、軽視できない問題だと思っています。

 特に懸念されるのが借金まみれの財政、そして社会保障の問題です。国際経済力が低下する状況で、これらを抜本的に解決する方法は見当たりません。あえて一気に解決しようとすれば大幅な増税が必要になるでしょうが、その結果としてさらに景気が後退すれば税収が減り、そのことがさらなる増税を生むという悪循環に陥りかねません。多くの問題を抱える状況を好転させるには、経済力の維持はどうしても欠かせない要素だと思うのです。

参照元:内閣府(統計資料、国民経済計算)
参照元:内閣府(統計資料、国民経済計算) (画像のクリックで拡大)

 とある外資系金融機関は、韓国新大統領の誕生を受けて、2012年ころには韓国は一人当たりGDPで日本に追いつくと予測しているそうです。ちなみに、2006年における日本のGDP総額は4兆3755億ドルで、米国に次ぐ2位を維持しています。しかし、世界経済に占める割合は9.1%と05年比1.1ポイント低下しており、世界の「一割国家」ではなくなりました。

「イノベーション」が消えた

 では、政府はそんな日本を今後どうしようとしているのでしょうか…(次のページへ