「イノベーション」が消えた

 では、政府はそんな日本を今後どうしようとしているのでしょうか。そんな疑問に応えるべく、2007年1月18日に国会において福田総理が施政方針演説を行いました。その内容をまとめると、次の五項目になります。

1.生活者・消費者が主役となる社会を実現する「国民本位の行財政への転換」
2.国民が安心して生活できる「社会保障制度の確立と安全の確保」
3.国民が豊かさを実感できる「活力ある経済社会の構築」
4.地球規模の課題の解決に積極的に取り組む「平和協力国家日本の実現」
5.地球温暖化対策と経済成長を同時に実現する「低炭素社会への転換」(技術革新の加速)

 経済政策は3番目です。

 さらに、「活力ある経済社会の構築」のために「経済成長戦略」と「活力ある地方の創出」が必要とし、その経済成長戦略において次の三つを挙げておられます。

1.「革新的技術創造戦略」の展開
2.開かれた日本(WTAとFTAの展開、 「留学生30万人計画」)
3.中小企業や農業の活力を引き出し、すべての人が成長を実感できる全員参加の経済

 それぞれに妥当性のあるものなのでしょうが、個人的には「イノベーション」「アジアゲートウェイ」というキーワードが消えたのがとても残念です。

 それでもあえてイノベーションに近い項目を探せば、革新的技術創造戦略ということになるでしょう。それについては、「環境関連の技術のみならず、バイオ技術や医療関連技術を含め、これからの日本の成長を支える研究開発に重点的に予算を配分するとともに、民間の研究開発投資を促進するため、研究開発税制の拡充を行います。世界最高水準の研究拠点の整備を進めるとともに、研究成果を適切に保護し、成長につなげていくため、知的財産戦略を着実に実行します。また、ITを活かしたユビキタス技術やロボット技術を一層活用して、高齢者や障害者が暮らしやすい社会づくりを進めてまいります 」とされています。でも、あまり迫力はないし、目新しさもありません。

 なぜ迫力がないのでしょうか…(次のページへ