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HOMEスキルアップマネジメント材料で勝つ > 「世界で勝つ」秘訣はあるのか

材料で勝つ

「世界で勝つ」秘訣はあるのか

  • 藤堂 安人=Tech-On!
  • 2007/02/05 13:33
  • 1/2ページ

 先週の1月30日と31日の2日間,日経マイクロデバイス誌の主催で「半導体メモリー・シンポジウム」が開催された。強気の投資を続ける半導体メーカー各社の一線の技術者の方に,メモリー技術の最新動向を披露していただいた。

 その内容そのものは日経マイクロデバイスの誌面でいずれ紹介されると思うが,初日に行われた,市場調査会社のジェイスターで代表取締役を務める豊崎禎久氏の講演「『Windows Vista』の半導体へのインパクトとその後を読む」を聴かせていただいて,あらためて日本の電子産業がこれから迎えるであろう厳しい状況に身の引き締まる思いがした。

 豊崎氏は講演の冒頭で「今日は,日本の企業が世界の中でビジネスをいかに成功させるのか,という視点でお話ししたい」と全体の方向性を示しつつ語り始めた。そして電子機器および半導体ビジネスについても,世界の中でどう生きるかを真剣に考える時期に来ていると強調した。

 「世界」の重要性は,さまざまな数字が物語っている。例えば,経済成長の指標であるGDP。日本は「いざなぎ景気超え」などと言われているものの,豊崎氏は長期的な低成長時代の中での好景気に過ぎないと見る。今後2030年までのGDPの年平均成長率を見てみると,日本はわずか1.5%と予測されている。これは,世界で一番低い水準である。中国は6.9%,インドは4.1%,ASEAN4カ国は3.1%である。米国も3.1%,EUも1.8%と日本よりは高いのである。

 また世界の人口は2000年から2050年にかけて30億人も増える。いわゆる人口爆発を迎えるわけだが,増えるのはアジア,アフリカ諸国であり,日本は少子高齢化社会に入り,30年~40年間で韓国と同じくらいの人口に減っていくという予測もあるという。

人口増大地域で積極的に売る

 日本企業は今後,国内市場だけを見るのではなく,こうした人口増大地域に積極的に売っていかなければならない。それなのに,日本の電子産業は世界市場に目が向いていないのではないか,と豊崎氏は警鐘を鳴らす。

 例えば,豊崎氏らが2006年7月に調査したところ,日本の大手電機メーカー3社の海外売り上げ比率は平均して約44%であった。半導体だけでみると,海外売り上げ比率はさらに下がるという。これに対して,日本の自動車大手3社の海外売り上げ比率は同約74%と高い。実際トヨタ自動車は,2007年に米GM社を抜いて世界トップの座に上りつめるとみられている。自動車メーカーの海外売り上げ比率が高いのは「海外の各地域に対する密着型のビジネス戦略を真剣に考えた結果ではないか」と同氏は分析する。

 逆に言うと,日本の半導体メーカーは「海外各地域の密着型ビジネス戦略」を真剣に考えていないということになる。その一つの理由は,日本の国内市場がそこそこ大きく,そこだけを見ていても十分やっていけることがある。しかし,世界の中での日本市場の動向をみると,今後日本市場は「中途半端なサイズになっていく」(豊崎氏)のである。

 2005年のデータでは,世界の半導体売上高に占める日本市場の比率は19%であり,この狭い市場で各社がバトルを繰り広げている状況である。豊崎氏らの予測では,これが2008年までに16%まで縮小し,狭い中でのバトルはますます熾烈になる。

 さらに,筆者がショックだったのは,2008年から2009年にかけて,シリコンサイクルの谷間になるという見方を豊崎氏が示したことである。2007年の1月~3月にかけて在庫調整が続き,それが一段落した時点で一度立ち上がる気配を見せるものの,秋前あたりから実質的な需要が落ちてきて,第4四半期から下降局面に入ると予想する。価格が高止まりしていたDRAMについても価格は下落し,NAND型フラッシュ・メモリー含めてメモリーの価格下落率は2007年に30%になると見る。

「利益出せなければ2010年を迎えられない」

 2008年~2009年にかけてシリコンサイクルの谷間がくるとすれば,日本の半導体メーカーは利益を落として厳しい局面を迎えることが予想される。適切な利益を出せない企業は,外資系の投資会社の買収の標的とされ,次の成長局面である2010年を「単独の企業としては迎えられないだろう」と豊崎氏は厳しい見方を示した。

 つまり,比較的業績の良い今のうちに,2008年~2009年の「冬の時代」に耐えられる自力をつけておかなければ冬を越すことができない。そして,そのポイントは「いかに海外で勝つか」にかかっている。

 豊崎氏はその後,これまでのように半導体の技術から産業の動きを見るのではなく,上流にあるのはコンテンツであり,コンテンツの流れをみたうえで電子機器の流れを読んで,そこに搭載される半導体の技術を読んでいかなければならない,と新しい産業のメカニズムについて語り,そうした中で米Google社がインターネット技術を武器にコンテンツ分野も支配しつつあると指摘した(なお同氏の主張は日経マイクロデバイス誌2007年2月号の論文「半導体業界の変調,その本質を読む」pp.39-45でも読むことができる)。

 コンテンツ業界にいる筆者にとってもひとごとではない重要な指摘なのだが,なぜか上の空になってしまった。日本の電機産業が海外になかなか目が向かないのは一体なぜなのだろうか,と考え込んでしまったのである。

 当セミナーの数日後,たまたまある電子部品の製造装置メーカーの技術部門のトップの方と懇談する機会があった。このメーカーの売り上げのほとんどは海外向けで,その分野では世界市場で圧倒的なシェアを持っている。その方もしょっちゅう海外出張をしており,各国の電機メーカーとビジネスをしている。このため各メーカーを第三者的に比較できるのではないかと考えて,なぜ日本の電機メーカーは海外展開で遅れをとっているのか聞いてみた。

「生きるか死ぬか」

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