3人の学生記者の紹介


田中文さん
東京大学大学院工学系研究科バイオエンジニアリング専攻(機械系)修士2年
田中文さん
学生記者を志望した理由:
・ものづくりの現場を見たかった。
・技術者との懇談・質問を通して,座学とは異なる深い知見が得られるのではと思った。
・工場見学ができるだけでなく,工場見学後に発信できる場があるのがよい。取材という目的意識があって見学に行くと吸収できるものが濃いだろうし,行きっぱなしではなく,「纏める」という作業が課されているのは自分のためになると感じている。
雨宮美沙さん
上智大学電気電子工学科4年
雨宮美沙さん
学生記者を志望した理由:
 学生は業界をきちんと調べもせず,自分にとってより魅力的な分野があるという可能性を知らずに,漠然とした何かで専門を決め,将来への道を狭めていく。確固たる意志のある学生など,一握りではないだろうか。殆どが「楽しそうだから」,「今注目されている分野だから」そんな理由だと思う。実際理系学生である私もそうである。周りを見てもそんな感じだと思う。しかし「そんな感じ」でいってしまうと,何かの拍子に後悔が芽生えてしまうかもしれない。後悔しないよう自分の意志を明確にしたい。だからといって興味ある分野だけを知ればいいわけではない。学問はいつでも相互依存の関係にあるのだから,業界も相互依存して成り立っている。全体を把握すると,個々がよりわかるはずだ。
天沼智彦さん
早稲田大学創造理工学部総合機械工学科3年
天沼智彦さん
学生記者を志望した理由:
  社会で働く人々と実際に接してみたいと思ったからだ。大学生というのは,中学生や高校生に比べて世の中と接する機会も増えてくるものの,気がつけば日々接しているのは同じ学科やサークルの友達,そして家族ばかり,となってしまいがちであり「出会い」による刺激を受ける機会は決して多くない。最も魅力的に感じたのが,学生記者になればきっと製造業の現場で生き生きと働く方々と時間をかけてお話ができ,自分にこれまでなかった新しい視点や考えを身につけることができるだろうという点だ。
 間もなく社会に出て一人前の人間として働くために重要なこととして,様々な考え方や価値観に対して柔軟な姿勢を持てるようになることがあるのではないだろうか? 社会に出れば,これまでの学生生活とは比較にならないくらいたくさんの人と,そして人の数だけ違った考え方に出会う。その時に困らないよう,今のうちから自分の殻を破って世の中を覗きに行ってみたい。

 以上のように志望動機を書いてくれた理系学生の3人。とはいえ,いきなり企業に取材しても,半導体製造は専門性が高いために,分からないことばかりに違いない。そこで,取材の前に3人に集まってもらい,半導体の概要と製造プロセスに関してレクチャを受けてもらうことにした。

4時間に渡って半導体をレクチャ

 学生に対するレクチャをお願いしたのは,ルネサスエレクトロニクス生産本部デバイス・解析技術統括部主管技師長の久保田勝彦氏。そして日本半導体製造装置協会専務理事の常松政養氏にも,業界をよく知るアドバイザとして出席をお願いした。

 会議室で顔合わせ,そして,いきなり70ページにも及ぶ資料を紐解いてのレクチャ開始。当初は緊張した様子の3人の学生。そこは,親しみやすい人柄の久保田氏のレクチャにより,徐々に口数も多くなり,詳細な解説を求める質問も出てき始める。

 「半導体では,難しそうな専門用語も多く出てきます。ただ,その言葉に負けてはいけません。必ず分かるようになりますから」と学生を鼓舞する久保田氏。時折ホワイトボードを使用しての解説も交えながら,学生の理解を促進するために,親切に応対していく。

 学生には今後,エッチング工程,配線工程,検査工程を主に担当する,各企業を取材してもらう。その取材の際に参考にしてもらうために,レクチャではp型,n型半導体やpn接合ダイオードといった基礎から,リソグラフィやエッチング,CVD,組み立て,検査など一連の技術について学んでもらう。最後には,実際の製造工程を収録したビデオを閲覧,約4時間に渡るレクチャはあっという間に終了した。

 今回のレクチャを受けての感想は後に掲載するが,学生記者の3人は,このような企画に応募してくれるだけあって,とにかく新しい知識を得ようという貪欲な姿勢が見られた。その柔らかい頭が,取材によって様々な知識を吸収し,そしてどのようなレポートを執筆してくれるのか? どうかご期待いただきたい。

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