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13億人がターゲットとなるサービス

木村 知史=Tech-On!
2010/05/24 09:10
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 昨日(2010年5月23日)は日曜日だったが,日本経済新聞の1面には最近の日本と中国の関係を象徴するような記事が掲載されていた。大手アパレルメーカーのレナウンが,中国繊維大手の山東如意集団の傘下に入る方向で最終調整を行っているというもの。中国企業が業績悪化に苦しむ日本企業をM&A(合弁・買収)により傘下に収めるケースは増えているが,その中でも年間売上高が1290億円のレナウンが傘下に入るという今回の件は,最大規模になるという。

 中国企業の傘下になることのメリットの一つは,年々急成長している中国市場に進出しやすくなるということだろう。GDP(国内総生産)が,2010年は確実に日本を抜くと言われている中国。所得の差が大きいために,約13億人いる中国人のうち,購買のターゲットとなるのはまだ一部かもしれない。それでも上位の10%の人だけが,ターゲットになったとしても,日本と同じ市場がもう一つ生まれることになる。企業再建を目指す企業にとっては,傘下に収められた中国企業と連携することで,幅広いビジネスモデルが立案できることになるはずだ。

 実はこの魅力ある中国市場に,容易に“進出”できるというサービスが出現する。ヤフーは中国インターネット通信販売最大手の淘宝網(タオバオ)と,お互いの通販サイトを2010年6月から相互接続すると発表した。その詳細はサービス開始まで分からない点もあるが,双方のサイトに商品情報を翻訳して掲載することで,日本企業は自社の製品を中国市場に対して販売することができ,日本においては中国企業の製品が手軽に購入できるようになる。

 現在,タオバオの登録利用者は約2億人。すなわち,日本の人口の約2倍をターゲットに,インターネットを通じて商品をアピールできるルートが確保できる。通販サイトを開設するだけという手軽な手続きで済むだけに,大手企業だけでなく中小企業にとっても,非常に魅力あるサービスと言える。

 もちろん,中国市場に販売できるルートができたからといって,簡単に売り上げが増えるわけではない。中国市場に受け入れられる製品は,安々と造れないからだ。中国市場に詳しい東京大学 社会科学研究所 教授の丸川知雄氏は,「日本メーカーは中国人のニーズを汲み取る姿勢が足りない」と指摘する。

 中国の市場が急速に拡大しているのは,一部の富裕層だけでなく,その下の所得の低い層にまで購買意欲が高まってきたから。ただしそのような層に対して,日本で売れている製品を日本と同じ価格で販売しても,多くの売り上げを望めない。いくら良い製品でも,価格が高ければ,購入の対象に入ってこないのだ。日本メーカーに必要なのは,中国人が必要とする製品を,そこそこの品質で,そして安く販売することである。

 中国ではどのような製品が求められるのか。開発は現地に任せるのが一番の策だろうが,自分で日本と中国の違いを肌で感じるのも重要だと思う。私は,6年前に初めて中国・上海を訪れたが,数日間を過ごしただけで,軽いカルチャーショックを覚えた。高級デパートの裏で洗濯物が干されている街の風景,騒々しくも何となく温かみのある地下鉄の中,常にレースを行っているかの感覚が味わえる高速道路,そして日本とは比較にならないほど勉強している子供たちなど。当たり前のことだが「この国に生まれたら,今持っている価値観などまったく変わる」と思った。

 だから,もし製造業で働きたいと考えているのなら,一度は中国を訪れてみて,そしてこの国では何が受け入れられるのかを考えてみるのは悪くないと思う。そういう私も,ここ2年ほど中国を訪れていない。上海万博も開催されていることなので,そのチャンスを虎視眈々と狙っている。

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