「The高専@SEMICON」の展示企画に先駆けて,2007年から「セミコン・ジャパン」に出展しているのが,福島県の県立工業高校の高校生達だ(Tech-On!関連記事)。今回も会津工業高等学校と喜多方工業高等学校の2校が出展し,最新の成果を披露した。展示品はいずれも前回から大きく改良されており,高校生達のこの1年の成長を見て取ることができた。

L字型ドライバーを製品化,展示会で受注開始

会津工業高校の皆さん
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製品化したL字型オフセットドライバー
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 会津工業高校は,2008年に続き多種多様なドライバーを展示した。そのうち,(1)「L字型オフセットドライバー」は,2008年に展示した「直角ドライバー」を改良し,製品化したものである。このほか,(2)「照明付きドライバー」については乾電池を使わない方法に取り組んだ成果を披露し,(3)「伸縮ドライバー」については使い勝手を改善するための新たな工夫を施した。

 (1)のL字型オフセットドライバーは,セミコン・ジャパンへの展示を機に,2009年限りの完全予約制ながら,実際に1万9800円の価格で販売した。特徴は,片手でネジを締め付けたり,ゆるめたりできること。L字の直角に曲がった部分の内側に薬指と小指をかけて握り,ハンドル・グリップを親指と人差し指で回転させるだけで操作できる。無段階ラチェット機構のため,本体を持ち替える必要もない。また,L字型の形状のため,機械の内部などの狭い場所でも使いやすい。

 L字型オフセットドライバーの基となった直角ドライバーについては,他の開発品も展示していた。取っ手とドライバーを入れ替えると,ゆっくり強く締められることができる直角ドライバーである。元に戻すと,速く締めることができる。「ギア比の違いを利用することで,実現している」(会津工業高校 機械科2年の仲松郁弥さん)と言う。

 (2)の照明付きドライバーは,柄の部分にLEDを付けて先端を明るく照らせるようにしたものである。2008年は乾電池によってLEDを点灯させていたが,今回は乾電池を使わずにLEDを光らせるための開発に挑戦した。ドライバーを振り,その振動エネルギーを発電素子によってコンデンサーに蓄積し,LEDの点灯に利用する。数百~数千回ドライバーを振って,LEDが数秒点灯する程度ではあるが,その独創的なアイデアと実際に試作してみる姿勢は,来場者の高い評価を得ていた。

 (3)の伸縮ドライバーは,ドライバーの長さを長くしたり短くしたりできるものである。今回の開発品は,「ピン止めを改善することで,大きなトルクをかけられるようになった」(仲松さん)と言う。

動画 1台で2役の直角ドライバー(約21秒の動画)

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