2009年度上期(4~9月)の中古車販売台数は200万台の大台を割り込んで、過去最低の水準に落ち込みました。新車販売では「エコカー」がけん引役となって一部に回復の兆しも見られますが、景気低迷で買い替えサイクルが長期化しているため、下取りで中古市場に回って来る車が不足していることなどが原因です。

 エコカー減税や補助金は景気対策として実施されたものですが、これから環境政策としてエコカーを広く普及させていくには、エコカーの新車購入の促進だけではなく、中古車の「エコ化」も後押ししていく必要があるでしょう。新車販売に占めるエコカー比率を高めるだけでは、おそらく「温暖化ガス25%削減」の目標を達成するための決め手にはなりにくいからです。

中古車のエコ化に国際貢献の道

 中古車のエコ化で注目されている1つの方法は、インホイール・モーター型の電気自動車(EV)でしょう。慶応義塾大学の清水浩教授が開発し、この8月にはベネッセコーポレーションやガリバーインターナショナルなどが出資して、新会社が発足しました(Tech-On!関連記事)。これは自動車のタイヤ内にモーターを設置する方式であるため、一般のガソリン中古車を改造してEV化することが比較的容易です。特に、新興国や発展途上国では一気に新車のエコカー比率を高めることは難しいでしょうが、中古車のEV化であれば、政策である程度は後押しすることもできるはずです。

 日本では高性能のハイブリッド車が相次いで発売され、最初の走行時は電気自動車として走るプラグイン型のハイブリッド車も近くお目見えするため、当面のEVの普及は限定的になりそうです。しかし、日本の国際貢献ということを考えた場合は、ハイブリッドの新車よりも中古のEV化の方がより現実味を帯びてくるかもしれません。

 実際、日本が温暖化ガスの25%削減を進めていく際、国内の排出量を減らす「真水の部分」だけで達成することは極めて困難です。日経BP社が10月23日に開いた「東京国際環境会議」で地球環境産業技術研究機構の茅陽一副理事長は「真水部分は15%の削減を目指し、残りは排出権取引と国際貢献で達成していく道が現実的なシナリオ」と言っていました。