図1 SIM-Driveの設立に関わるメンバー
図1 SIM-Driveの設立に関わるメンバー
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 慶應義塾大学とガリバーインターナショナル,ベネッセコーポレーションなど5社は,電気自動車(EV)の設計・開発を手掛ける新会社「SIM-Drive」を設立した(図1)。代表取締役社長には,8輪式の電気自動車「エリーカ」を開発する慶應義塾大学 教授の清水浩氏が就く。会長にはベネッセ代表取締役会長兼CEOの福武 總一郎氏が,取締役にはガリバー 代表取締役会長の羽鳥 兼市氏が就任する。資本金は4400万円。「将来も上場する計画はない」(福武氏)という。

 SIM-Driveは,慶大の清水教授が開発してきた技術をベースにした電気自動車の共同開発プロジェクトを立ち上げ,国内外の企業の参加を募る。開発する電気自動車の方式は,タイヤ内にモータを設置するインホイール・モータ式。2013年までに年間10万台の生産を目指す。車両価格は,電池代を除いて150万円以下を目指す。

 SIM-Driveは,自社で電気自動車を製造しない方針だ。「開発した電気自動車の技術を“オープンソース”として公開」(清水教授)し,その技術を他社に供与することで得られるコンサルティング料やライセンス料で運営するビジネス・モデルを描く。具体的な開発技術の範囲について清水教授は,「モータの仕様は決めたい。技術革新が進む2次電池についてはサイズの提示に留まるだろう。インバータや充電器については緩やかなルールを決める形にできればいい」と述べた。

 さらに清水教授は,「インホイール・モータ式であれば,既存のガソリン車を比較的簡単に電気自動車に改造できる。このため,新興国や発展途上国などでも安価な電気自動車を供給しやすい」という考えも示した。

 ベネッセの福武氏とガリバーの羽鳥氏は出資の経緯として「清水教授の考えに共感したこと」や,「環境問題などから今後,電気自動車の必要性が高まること」を挙げた。

 SIM-Driveという名称は,「Shimizu In wheel Motor-Drive」に由来する。

 創業メンバーおよび顧問は以下の通り(敬称略)。
取締役会長 福武 總一郎(ベネッセコーポレーション 代表取締役会長兼CEO)
代表取締役社長 清水 浩(慶應義塾大学 環境情報学部 教授)
取締役 羽鳥 兼市(ガリバーインターナショナル 代表取締役会長)
取締役 藤原 洋(ナノオプトロニクス・エナジー 代表取締役社長)
取締役 福武 英明(efu 取締役)

顧問 出井 伸之(クオンタムリープ 代表取締役)
顧問 村井 純(慶應義塾大学 環境情報学部 教授)
技術顧問 高野 正(慶応義塾大学 大学院政策・メディア研究科 教授)