データの匿名性と有用性のバランスが課題

 (5)は、(1)~(4)の加工を施した情報であっても、個人情報データベースの性質により、特定の個人を識別可能な状態や元の個人情報を復元できる可能性がある場合には、さらに加工を施すことを求めたものだ。例えば、移動履歴を含む個人情報データベースなどを加工の対象とする場合では、自宅や職場などの所在が推定できる位置情報などは削除が必要。あるいは、小学校の身体検査の情報を含む個人情報データベースを加工の対象とする場合では、ある児童の身長が170cmいう他と比べて差異が大きい情報があり、個人の特定につながるおそれがあるときは、「150cm以上」という情報への置き換えが必要になる。

 これらの個人情報保護委員会が定める基準は、匿名加工情報を作成する事業者すべてに共通する最低限の規律を定めたものである。事業の特性やデータ内容に応じた詳細なルールについては、事業者の自主的なルールや認定個人情報保護団体による個人情報保護指針などに委ねられる方向である。加工をすればするほど個人の識別が困難になるが、データとしての有用性は低くなってしまうおそれが懸念されている。