科学的裏付けに基づく介護、いわゆる科学的介護の実現を目指し、介護領域におけるエビデンスを蓄積するためのデータベースの通称。「Care, Health Status & Events」の略。介護保険サービスの内容や利用者の心身状態・変化に関する情報を収集し、サービスの質と効果についての科学的裏付けの蓄積を目的とする。

 厚生労働省の「科学的裏付けに基づく介護にかかる検討会」で構想された。「介護保険総合データベース」「通所・訪問リハビリテーションの質の評価データ収集等事業によるデータベース(Monitoring & Evaluation for Rehabilitation Services for Long-term Care, VISIT)」といった既存のデータベースを補完するデータベースと位置付ける。2018年度に初期仕様の開発を開始し、2020年度に本格運用を目指している。

 CHASEで収集する情報は、認知症や口腔、栄養などの内容に関して、それぞれ(1)状態、(2)介入、(3)イベントの3種類に類型化することになっている。(1)は、日常生活動作(ADL)や認知機能、バイタルサイン、血清アルブミン値などの評価・検査データなど。(2)は、服薬情報、栄養指導やリハビリテーション、口腔ケア、各種介助の実施内容など。(3)は、入院や在宅復帰、転倒、発熱、誤嚥性肺炎、褥瘡、3%以上の体重増減といった発生した事象である。

CHASE初期仕様に含まれる収集項目の分類(図:科学的裏付けに基づく介護にかかる検討会資料を基に本誌が作成)
CHASE初期仕様に含まれる収集項目の分類(図:科学的裏付けに基づく介護にかかる検討会資料を基に本誌が作成)
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 収集する情報は、今後の検討により追加の可能性がある。データベースを用いた研究の利便性、正確性を考慮すれば、CHASEに求められる情報は必然的に幅広くなる。一方、介護現場の業務負担を考えると、データ収集の負担を極力少なくすることが求められる。

 そこで、まずは次の2点の情報を格納することを原則としたのが、前述の初期仕様案である。すなわち、(a)対象となる事業所の多くで既に電子的に取得されている情報、(b)一定程度の事業所で既に電子的に取得され、その方法が簡便で他の事業所でも容易に導入・実施できると思われるもの、である。

 今後、初期仕様案は随時バージョンアップされる予定。新たに必要な項目の追加、必要性が低いと思われる項目の削除、測定目的が重複している項目の整理などを行っていくとしている。