従来のバナジウム電池の弱点とされてきた省スペース化を実現
従来のバナジウム電池の弱点とされてきた省スペース化を実現
(出所:オリックス)
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 オリックスは12月21日、米国の大型蓄電池ベンチャーであるUniEnergy Technologies社に出資したと発表した。

 UniEnergy Technologies社の持ち株会社による第三者割当増資の一部をオリックスが引き受け、持ち株会社の議決権10%を取得した。

 UniEnergy Technologies社は、米国エネルギー省(DOE)のパシフィック・ノースウェスト国立研究所(PNNL)で、次世代のバナジウム電解液を発明した研究者2人が2012年に設立した。PNNLが保有する同電解液の特許使用権を長期契約で供与されている。

 開発したバナジウム蓄電池は、長時間の放電、大容量化、長寿命といった特徴があるとしている。電解液のエネルギー密度を大幅に高めることで、従来のバナジウム電池の弱点とされてきた省スペース化を実現できる。

 米国での導入例として、エネルギー関連事業者であるAvista社向けに、2015年4月、変電所に出力1MW・容量3.2MWhの蓄電システムを導入し、電力の負荷平準化や系統の安定化に使われている。

 設立時から、中国のバナジウム総合メーカーが出資していた。今回の事業拡大に向けた増資において、オリックスが資本参加したことで、米国市場での拡販とともに、将来的には出資者の協力を得て、中国や日本での事業展開も視野に入れているとしている。

 米国では、再生可能エネルギー発電の導入拡大に伴い、天候などに出力を左右されやすい再エネ電力を多く導入しながら、電力供給を安定させる目的で、大型の蓄電池の導入が進んでいる。

 また、ピーク需要時の電力使用量に従って追加課金される「デマンドチャージ」を抑制するために、商業ビルなどの大規模需要家が蓄電池を活用し、電力料金を減らす動きも活発化している。これらを背景に、米国の大型蓄電池市場は2019年に10億米ドルを超え、2014年に比べて8倍程度に拡大すると予測されている。

 こうした海外での需要や、国内でも見込まれる同様の需要に対して備えた取り組みといえる。