米ハワイ州の電力大手であるHawaiian Electric Companies社は23日、同州が定めている再生可能エネルギーの導入方針に対応し、同社として策定した具体的な計画の概要を発表した。

 同社が「電源改善計画アップデート(Power Supply Improvement Plan Update)」として、同州の公益事業委員会(HPUC)に2016年4月に申請した計画の修正を申請したもの。

 これにより同社は、同州が定めている「2045年までに同州の電力を100%再生可能エネルギーで賄う」という目標を達成、または上回ることを目指している。ハワイ州の再エネ導入目標は、全米で最も先進的なものの一つとして知られている。

 今回同社が発表した修正計画では、同州が義務化する再エネ導入を率先的に前倒しするものとなっている。同社のサービス地域である5つの島で今後5年間の予定で進行中または計画中の事業を強調したものという。

 また、この計画は柔軟であることの必要性を訴えており、発電や配電、蓄電などの分野で将来起こり得る技術的な進歩を、今回の決定で排除しないようにするとしている。

 同社は2020年の時点でハワイ州の再エネ導入目標を上回り、2030年および2040年の時点で再生可能エネルギー・ポートフォリオ基準(RPS)を上回ると見込む。

 具体的には、まず、2020年の末までに再エネ比率を48%とする(州の目標は30%)。2030年末までには、再エネ比率を最低72%とする(同40%)。そして2040年末までには、再エネ比率を最低100%とする(同70%)。このような計画により、同社は「2045年までに再エネ100%」という州の定める期限を5年前倒しで達成するとしている。

 また、この計画では顧客による発電の自家消費や定置型蓄電池の普及も考慮に入れた場合、2030年以降のRPSは100%を超える可能性があると見積もっている。

 目先では、まずモロカイ島で太陽光、風力、定置型蓄電池、バイオ燃料を組み合わせて使用することにより、2020年までに再エネ比率100%を達成する。2020年までに、ハワイ島は80%、マウイ島は63%、ラナイ島は59%、オアフ島は40%に達すると見込む。

 同社は、顧客が屋根上に設置する太陽光発電が継続的に増加するとみており、それも計画に反映されている。現在でも既に7万9000件の顧客が太陽光発電を設置しており、それが2030年の時点では2倍以上の16万5000件に増えると試算している。同社における屋根上の太陽光発電システムの設置比率は、全米で最も高いという。

 計画では、さらにメガソーラー(大規模太陽光発電所)が360MW、風力発電が157MWを見込む。一方で、再エネの出力変動を緩和できるデマンドレスポンス(DR:需要応答)対応可能な需用家設備の容量は115MWになると予測している。