NECは、さまざまな種類の大量のデータを基に、目的とする数値を高精度で予測するモデルを自動作成できる技術を開発し、2016年12月16日に開催したR&D説明会でデモを見せた(発表資料1)。この技術を使って三井住友銀行、日本総合研究所と共同で実施した実証実験では、顧客の属性情報、入出金情報、アクセスログなどから、金融商品に対する各顧客のニーズの有無を予測するモデルを作成。従来2~3か月を要していたモデルの作成作業を1日に短縮でき、作成したモデルで従来と同等以上の精度を確認できたという(発表資料2、図1)。3社でこの技術の本格導入に向けた検討を始めたほか、NECが同技術を用いたサービスを、顧客自身でビッグデータを分析する用途に向けて2017年度に提供する計画である。

図1 今回の技術を適用した実験の概要
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図1 今回の技術を適用した実験の概要
12月16日に開催したR&D説明会での展示

 NECによれば、予測モデルの作成には(1)利用できるデータから特徴量を作成し、(2)その特徴量を用いてモデルを作成するという2段階がある。これまでは、いずれもデータサイエンティストが人手で実施していた。例えば「おにぎり」の売り上げの予測を考えた場合、(1)は「曜日」や「天候」、「気温の範囲」といった売り上げに関連する変数を決める作業、(2)はその変数を使った数式などを作成する作業といえる(図2)。

図2 特徴量の設計とモデルの設計を自動化
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図2 特徴量の設計とモデルの設計を自動化

 NECは、(1)ではリレーショナルデータベースに格納された生のデータから、高い予測精度につながる特徴量を自動的に設計できる技術を開発。同社によればこうした技術は世界初という。