ザイリンクス代表取締役社長のSam Rogan氏
ザイリンクス代表取締役社長のSam Rogan氏
[画像のクリックで拡大表示]

 FPGA大手として、米Intel社としのぎを削る米Xilinx社。同社の日本法人であるザイリンクスは2016年10月に組織改編を実施した。ザイリンクスの代表取締役社長を務めるSam Rogan氏(Vice President, Japan and Korea, President and Representative Director, Xilinx Japan, Global Sales and Markets)に、舵取りの基本的な考え方と来年(2017年)の目標などについて、インタビューした。(聞き手:大石 基之=日経エレクトロニクス編集長)

問  Xilinx社の日本法人であるザイリンクス(Xilinx K.K.)は2016年10月に組織改編を行いました。その内容と、そこに至る背景・考え方をお聞きします。

Rogan氏 組織改編というと、どうしても人を削減するというイメージになると思いますが、我々は逆に人を増やしているところです。いろいろなエンジニアのポジションとか、営業のポジションなどで人を探しています。ザイリンクスは昨年(2015年)まで5年ほど連続して、売上高を増やしてきましたが、今年(2016年)はおそらくそうならないのではと思っています。市場そのものは強い分野もあるし、弱い分野もあります。例えば、通信分野では、我々のお客様の売り上げがそれほど良くない状況です。その影響を受けて、有線向け製品事業の売上高がダウンする見込みです。

 一方で、車載分野は非常に好調です。ADASが牽引する形で、サラウンドビューやリアビュー、ヘッドアップディスプレイ向けなど、クルマのさまざまなところにFPGAを使っていただいています。こうした車載分野が我々の今年の売上をドライブしている状況です。もちろん、産業機器や放送、民生などの分野の売り上げも大きいです。車載分野はこれまでどちらかと言えば売り上げが小さかったのですが、ここにきて高い伸び率を示しています。今は、ADASが牽引していますが、次に見えているのが自動運転です。

問  ザイリンクスの組織変更は具体的にどのような形で実施したのでしょうか。

Rogan氏 そこに至る背景から説明します。Xilinxの米国本社では2015年春に大きな組織変更を行いました。このときは地域性を排除する代わりに、3つの事業領域を設定しました。第1がコミュニケーション領域(Communications)で、そのトップが全ての国・地域のコミュニケーション分野を統括するようにしました。第2が、コミュニケーション(Communications)以外の大手顧客向け事業、いわゆる「フォーカス(Focus)」領域と呼んでいます。ここでもフォーカス領域のトップがグローバルにすべての国・地域を統括します。第3が、チャネル(Channel)と呼ぶ領域で、これから売り上げを大きくしていきたい顧客向けという位置づけです。代理店を通じて、少量多品種のお客様にご対応する事業領域です。

 ただし、そうした地域性排除の例外となっているのが日本と韓国です。日本は連続して業績が伸びてきたので、いじる必要がない、と本社が判断したわけです。加えて、韓国も継続的に伸びていますので、日本と同様の位置付けになっています。つまり、世界の中で日本と韓国だけは地域性が残っていて、それは現在でも続いています。そして、これら日本と韓国は僕が見ています。地域性は残っていますが、日本の中では、これまではグローバルと同様に、Communications、Focus、Channelの3領域に分かれていました。

 本題の今年10月に日本の何を変えたかですが、大きく4つのセクターに再編しました。Xilinx社全体では、大まかに8つのアプリケーションで事業を展開していて、日本はそれらのほぼ全てを手掛けています。これを今年10月に4つのセクターにまとめ直しました。具体的には、セクター1が車載分野と産業分野です。セクター2は民生分野と放送分野になります。セクター3が通信分野で、有線、無線、データセンター、テスター、計測機器などが該当します。最後のセクター4は、インキュベーター領域です。小さい種を育てて、ある程度大きくなれば、セクター1かセクター2、セクター3に持っていく事業です。