追浜工場に導入した自動搬送システム
図1 追浜工場に導入した自動搬送システム
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牽引車に搭載したセンサー類
図2 牽引車に搭載したセンサー類
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停止線を検知すると自動で止まる
図3 停止線を検知すると自動で止まる
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 日産自動車は2016年12月5日、同社の追浜工場(神奈川県横須賀市)で試験的に運用している完成車の自動搬送システムを公開した。同工場内にある生産エリアから専用埠頭まで、完成車を無人で搬送するものである(図1)。

 同社は2016年に、高速道路の単一車線における自動運転技術を実用化した。2018年には高速道路の複数車線における自動運転技術の実用化を目指している。これに対して、今回公開したシステムは自動運転技術を利用して、工場内という私有地において完成車を自動搬送するものである。

 同社の車両工場ではこれまで、生産エリアから専用埠頭まで完成車を1台ずつ専門の担当者が運転して搬送していた。今回のシステムは電気自動車(EV)の牽引車と完成車を3台載せられる台車で構成し、運転者なしで完成車を搬送する。これにより、搬送業務の効率化を目指す。

 同社の自動搬送システム「インテリジェント・ビークル・トーイング」の牽引車は、EV「リーフ」をベースに開発した。牽引車にはフロントグリル中央に2個のレーザーレーダーを、フロントバンパーの左右に2個のレーザースキャナーを、ドアミラーに2個の単眼カメラを搭載した(図2)。

 公道を対象にした自動運転車では、車両前方の監視にカメラやミリ波レーダー、レーザーレーダーなどを使う場合が多い。今回の自動搬送システムは私有地を30km/h以下の低速で走行するため、センサーの種類を減らした。