ウインテストは11月19日、茨城大学と共同開発を進めている、太陽光パネルの「部分影」による発電効率の低下を防ぐ一体型コンバーター付き太陽光パネルなどの実証実験場を茨城大学の屋上に設置したと発表した。2019年夏ごろまでの製品化を目指す。

 太陽光パネルが直列接続されたストリングのうち、草木や鳥獣糞害などの影で発電できない(電位の低い)パネルが1枚でもあると、ストリング全体の電流の流れが阻害されて出力低下する。さらに、出力低下が長期間続くと発熱などによりストリング全体の破損につながる恐れがある。

 今回開発した技術は、従来のマイクロコンバーターを用いず、独自開発のスイッチドキャパシタコンバーター(SOC)によってパネル1枚ごとの電力監視と異常時の電力補償を行い、全体の効率を改善する。電圧の低下したパネルの電位をSOCが補償する仕組み。これにより不具合の発生したパネルで、電流の阻害によるストリング機能の停止を防ぐ。

 同社によると、パネルに影が落ちたことによる発電量低下分の約3割程度を補償できるという。太陽光発電所全体では発電量の約9割程度まで回復させることが可能になるとしている。既設太陽光パネルへの後付設置も可能。共同特許申請済み。

 横浜市から「平成30年度 横浜市中小企業新技術・新製品開発促進助成金」の採択を受け、研究開発の準備段階から販路開拓までの支援を受けた。補助事業期間は2月1日~12月31日。交付上限予定額は1223万4000円まで。

茨城大学屋上に設置した実証実験場
茨城大学屋上に設置した実証実験場
(出所:ウインテスト)
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部分影補償モジュールの構造
部分影補償モジュールの構造
(出所:ウインテスト)
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