欧米など6カ国を代表する在日商工会議所などの5団体は11月21日、太陽光発電の「長期未稼働案件」を対象として経済産業省が10月15日に発表した制度改正案への懸念を表明する共同声明を発表した。

 この改正案は、買取価格40円、36円、32円/kWhの未稼働案件で運転開始期限の付いていないものを対象に、新たに運転開始期限を設定したり、「系統連系工事の着工申し込み」の受領時期によって買取価格を変更(減額)したりするもの。経済産業省は、「未稼働案件に適用する買取価格の変更」と説明するが、事実上、過去の認定で決まっていた買取価格の遡及的な減額措置となる。

 今回懸念を発表した5団体は、米国ACCJ、豪州・ニュージーランドANZCCJ、カナダCCCJ、フランスCCIFJ、欧州EBCである。

 同声明で5団体は、日本が「産業界における主導者としての地位を奪われるのみならず、これまでに築き上げてきた安定性、透明性及び法の支配についての名声を損ねる恐れがある」と強い懸念を表明している。

 その理由として、「開発または建設のマイルストーンを達成し信頼できるスポンサーがついているプロジェクトとそうでないものの区別がされていないこと」「運転開始期限の変更案に関して過去の平均的な実績や業界基準に相応する標準的なタイムラインが考慮されていないこと」「発電所の開発や建設の要件は地域ごとに異なるものの、同省の改正案ではすべてのプロジェクトを一律で取り扱っていること」などを挙げている。

 さらに同声明では、「日本の経産省の政策によって多額の投資がリスクに晒されている」とし、「通常であれば発展途上国向けのプロジェクトにしか付保されないような投資保険に基づいて請求を提起する投資家が出てくる可能性もある」と指摘した。

 同声明の帰結では、「少なくとも誠実に開発を進めているプロジェクトに対しては更なる配慮をする」よう希望するとともに、「日本政府が優先的になすべき課題克服に向けて解決策を見出すことができるだろう」と期待感も表明している。

 経産省の制度改正案に関しては、11月21日までの期限で意見募集(パブリックコメント)が実施されており、国内だけでなく外資系などの再エネ発電事業者からも数多くの意見・要望が寄せられたとみられる。

 太陽光発電協会(JPEA)も1月22日、記者会見を行い、要望を発表した。主な項目は、「着工申し込みの提出期限を少なくとも2020年3月末までに延ばしてほしい」「プロジェクトとしての熟度が、ある程度進んでいる場合は、制度変更の対象から外してほしい」「環境アセスメントのプロセスにある案件は制度変更の対象から外してほしい」など(関連記事1)(関連記事2)。