太陽光発電協会(JPEA)は11月22日、太陽光の長期未稼働案件に対する制度改正案に関し、緊急に実施したアンケート調査の結果を公表した。それによると、回答した29社が開発を進めている案件で、今回の改正で影響を受ける可能性のあるものは113件で、合計容量は約310万kW(3.1GW)に上ることが分かった。

 この改正案は、経産省が10月15日に開催した有識者会議で公表したもので、買取価格40円、36円、32円/kWhの未稼働案件で運転開始期限の付いていないものを対象に、新たに運転開始期限を設定したり、「系統連系工事の着工申し込み」の受領時期によって買取価格を変更(減額)したりするもの。

 影響を受ける可能性のある113件の開発規模は平均27.5MWで、特別高圧送電線に連系するメガソーラー(大規模太陽光発電所)となる。

 これらの案件に関し、今後の稼働可能性を聞いたところ、「制度改正が無ければ稼働できる」が296万kW(111件)なのに対し、「制度改正案が実施された場合、稼働できなくなる」が228万kW(92件)となり、少なくとも2GWを超えるプロジェクトが制度改正によって、開発断念に追い込まれる可能性がある。

 113案件に対する現時点での投資総額(電力会社への工事費負担金、地権者やEPCへの支払いなど)は約1680億円で、未稼働となった場合の違約金(EPCや金融機関への違約金、地権者に対する賠償金など)は、約1210億円に上るという。従って、現在の改正案が実施された場合、29社全体で2000億円を超える損失が発生する可能性がある(図1)。

図1●制度改正の有無による稼働可能性への影響
図1●制度改正の有無による稼働可能性への影響
(出所:JPEA)
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