抜本的改革を断行(出所:ニコンの決算報告資料)
抜本的改革を断行(出所:ニコンの決算報告資料)
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 ニコンは2016年11月8日、半導体製造装置事業と映像事業を中心とする構造改革に着手することを発表した。両事業の不振から「数年後には(全社の損益で)赤字転落の危惧がある」(ニコン 取締役社長 兼 社長執行役員の牛田一雄氏)ことを受けたもの。2016年度中に国内で1000人規模を削減する。

 半導体製造装置事業のうち、特にArF液浸露光装置と呼ぶ最先端の半導体製造に使う露光装置が不振で、同事業は赤字が続いている。「市場リーダー(オランダASML社)に大きくシェアを奪われ、もはや挽回は不可能」(ニコン 取締役 兼 副社長執行役員 兼CFOの岡昌志氏)という。ArF液浸露光装置の開発を縮小し、開発費を削減する。デジタルカメラを中心とする映像事業も、市場の急速な縮小により減収減益の状態だ。

 同社はかねて、次の成長の柱の1つとしてメディカル事業を掲げてきた。2015年には英国医療機器メーカーのOptos社を買収し、網膜画像診断機器市場に参入。メディカル事業と並ぶ成長事業と位置付けるマイクロスコープ・ソリューション事業でも、再生医療関連分野への参入などを進めてきた。こうした新領域も「伸びてはいるが、期待通りの進捗ではない」(岡氏)。メディカル事業の営業損益は、2015年度に続き2016年度も赤字を見込んでいる。