国連事務局が太陽光をPR!

 パリ協定の発効を機に国連がホームページに掲載した動画メッセージのなかに、太陽光発電の画像が頻繁に登場するのは、まさに象徴的だ。発効を受け、国際環境NGO(非政府組織)のグリーンピースが「化石燃料に対し、再生可能エネルギーがすでに市場で優位に立っていることが大きな希望」と、表明したのも、こうした流れを示している。

 NGOだけでなく、企業の間にも再エネ導入を目指す動きは、加速しており、自社が直接、使用するエネルギーを再エネ100%に切り替えることを目指す「RE100」パートナーシップには、欧米の自動車・電機の大手、IT関連企業が名を連ねる。日本でもコマツやトヨタ自動車などが、自社工場のエネルギーへの再エネ活用に乗り出している。

 欧米の先進企業が再エネの積極的な活用に乗り出したのは、いずれ化石資源の使用に対し、投資家や消費者の目が厳しくなり、その先には、現在の化学物質規制による輸入制限などと同様に、製造段階の「化石フリー」が国際取引の条件になる可能性を睨んでいるからだ。

 京都議定書の時代には、エネルギー損失の削減やハイブリッド車など省エネ技術への期待が大きかったのに対し、パリ協定では、一層の省エネを進めつつも、化石燃料から低炭素電源へのエネルギー転換が対策の主軸になる。米カリフォルニア州が、普及を推進するエコカーの基準からハイブリッド車を外し、電気自動車(EV)や燃料電池車などゼロエミッションに近い技術だけに絞り始めたのは象徴的だ。

 日本は、温室効果ガスの削減目標として、「2030年度に、2013年度比26%削減」を掲げ、国連に提出している。これを達成するため、2030年のベストミック(望ましい電源構成)で、再エネ比率22~24%(太陽光は7%・64GW)、原発22~20%、つまり両電源を合わせた「低炭素電源44%」と設定した。