「車いすは、抱っこからおんぶへ」――。そんなコンセプトで作られたのは、アイザックが2016年8月2日にレンタルを開始した移乗・移動ロボット「Keipu~恵風」。「HOSPEX Japan 2016」(2016年10月26~28日、東京ビッグサイト)に展示した。

「Keipu~恵風」前から見た図
「Keipu~恵風」前から見た図
[画像のクリックで拡大表示]
「Keipu~恵風」横から見た図
「Keipu~恵風」横から見た図
[画像のクリックで拡大表示]

座面の高さを合わせ、身体をスライドさせるだけで乗り込める
座面の高さを合わせ、身体をスライドさせるだけで乗り込める
[画像のクリックで拡大表示]
前方から見た乗車イメージ
前方から見た乗車イメージ
[画像のクリックで拡大表示]
 コンセプトでうたう“抱っこ”とは、従来の車いすで、背もたれ部分で身体が支えられ、抱き込まれるような姿勢になることを指す。対して“おんぶ”を採用した今回の製品は、背もたれがなく前方のひじ掛けが身体を支えるため、まさに背負われる体勢になる。

 最大のメリットは、身体を前方へスライドさせるだけで、利用者がベッドや便座からKeipuへ一人で乗り込むことができる点。座面の高さは手元のタッチパネルで地上高430mm~630mmに調節ができるため、ベッドや便座に本体を近づけて、機体後方から簡単に移乗することができる。「(移乗に伴う」介助者の負担も軽減できる」(アイザックブースの説明員)。背もたれがなくても転倒の危険がないよう、身体の後方をベルトで固定できるようにした。

 座面高さの調節は人とのコミュニケーションにも役立つ。従来、車いす利用者は目線が低くなってしまい、「上を見上げながらコミュニケーションをとりがちであることが心理的ストレスになる場合があった」(説明員)。Keipuでは身長150cmの人と同程度の目線を確保できるという。

手元のタッチパネルとレバー
手元のタッチパネルとレバー
[画像のクリックで拡大表示]
 移動時の操作方法は手元のレバーを進みたい方向に倒すだけ。タッチパネルの操作で移動速度を5段階に調節することができる。

 同製品はすでに福島県内の3つの医療機関に導入している。これまで車いすに乗りたがらずに寝たきりの状態が続いた患者が、「これなら乗りたいと今回の製品を利用するケースもあった」(説明員)。