クリーンエネルギー分野のコンサルティングなどをグローバルに手がけるMercom Capital Groupは10月23日、蓄電池、スマートグリッド、省エネ関連分野の企業が2018年の最初の9カ月間で13億ドルの資金を調達したと発表した。

 同社が刊行した調査レポート「蓄電池、スマートグリッド、省エネルギーの資金調達とM&Aレポート」によるもの。2017年の同じ時期における資金調達の総額は12億ドルで、前年比8.3%増となっている。

 蓄電池企業へのベンチャーキャピタル(VC)による投資の総額は7億8300万ドルで、前年同期の5億6300万ドルから約39%増加した()。同カテゴリーで最も多くのVC資金を集めたのはリチウムイオン蓄電池のカテゴリーで、投資総額は2億1100万ドルだった。同カテゴリーの買収・合併(M&A)件数は10件で、前年同期比で7件増と大幅に増加した。

図●蓄電池、スマートグリッド、省エネルギーの各分野におけるVC投資総額の推移
図●蓄電池、スマートグリッド、省エネルギーの各分野におけるVC投資総額の推移
(2017~2018年で各年とも最初の9ヵ月間で比較、出所:Mercom Capital Group)
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 スマートグリッド企業へのVC投資の総額は2億6400万ドルで、前年同期の3億8000万ドルから31%減少した。同カテゴリーで最も多くのVC資金を集めたのは電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)向けスマート充電やV2G(Vehicle-to-Grid)関連の企業で、全4件の投資総額は9100万ドルだった。同カテゴリーのM&A件数は9件で、前年同期の19件から大幅に減少している。

 省エネルギー企業へのVC投資の総額は2億6500万ドルで、前年同期比では2億8900万ドルから8.3%減となった。同カテゴリーで最も多くのVC資金を獲得したのはスマートサーモスタットなど温度制御に関する企業で、全2件の投資総額は9700万ドルだった。同カテゴリーのM&A件数は3件で、前年同期の7件から減少している。

 2018年に蓄電池分野への投資額やM&Aの件数が増加している背景には、グローバル規模で急速に増加しつつある太陽光や風力発電の設備容量があるとみられる。

 Mercomは2017年に太陽光発電分野の資金調達とM&Aの動向に関するレポートを公開している(関連記事)。