世界エネルギー会議が発表した「World Energy Scenarios 2016 - The Grand Transition」
世界エネルギー会議が発表した「World Energy Scenarios 2016 - The Grand Transition」
(出所: World Energy Council)

 世界の全電源に占める太陽光と風力の割合は、現在の約4%から、2060年までに最低でも25%、多ければ39%まで高まる――。このような予測を、国際団体の世界エネルギー会議(World Energy Council)が10月10日に発表した。

 同団体がトルコのイスタンブールで10月13日まで開催中の「第23回世界エネルギー会議」で公開した調査報告書「World Energy Scenarios 2016 - The Grand Transition」によるもの。

 同団体は、コンサルティング会社のAccenture Strategy社、自然科学や理工学を専門とするシンクタンクのPaul Scherrer Instituteと共同でこの調査報告書をまとめた。25カ国以上の70人以上の専門家が調査を担当し、Paul Scherrer Instituteがエネルギー・システムのモデリングを行った。

 同報告書では、エネルギー分野における2060年までの見通しを、3つのシナリオと7つの示唆として提示している。

 1つ目の示唆では、世界の一次エネルギーに対する需要の成長が鈍化し、一人当たりのエネルギー需要が2030年より前にピークを迎えると予測している。この変化は、新技術やより規制的なエネルギー政策によって省エネが進むためという。

 このほかの示唆では、エネルギー消費の最終的な段階では、2060年までに電気に対する需要が倍増するとした。また、電源構成に占める太陽光と風力の比率が、現在の約4%から25~39%のいずれかの割合にまで増加するとの見通しを示している。

 3つのシナリオのうち、最も低炭素電源の割合が多くなったケースでは、化石燃料の使用が一次エネルギーの50%にまで減少する可能性があるとした。この場合、石炭、石油、天然ガスの将来は大きく異なるという。

 しかし、いずれのシナリオでも、今後30~40年で二酸化炭素の増加を抑えられず、気温の2℃以上の上昇は避けられないだろうとしている。