調査会社である台湾EnergyTrendは9月19日、サプライチェーンにおける太陽光パネルや太陽電池の価格が、低調な需要のため2016年第2四半期に最低水準を更新したと発表した。

 しかも、太陽電池のセル(発電素子)やシリコンウエハーの相場は、この9月にまだ底を打ったわけではないという。現在の市場を分析する限り、ほとんどの太陽電池メーカーが利益を出していないとしている。

 同社は2017年の見通しで、シリコンから太陽光パネルまでのサプライチェーン全体で供給が需要を18~35%と相当に上回ると見ている。供給過剰は極めて深刻という。

 第2四半期には需要が停滞していたものの、ほとんどのメーカーが楽観的な見方をしていた。右下がりの市場は循環的・一時的なものと仮定していたからである。

 同社は第2四半期に市場が急速に落ち込んだ要因として、第1四半期での中国の導入ラッシュを挙げている。中国では2016年第1四半期に太陽光発電所の建設ラッシュとなって需要の先食いが起こり、パネル需給がひっ迫した。6月に設置ラッシュが終わった後、世界最大の太陽光市場である中国は不調に陥り、グローバル市場全体の足を引っ張ったという。

 2016年の第4四半期と2017年の見通しは、インド市場が引き続き成長し、グローバル市場でも数少ない好材料の一つとする。インド以外では、南米や中東、その他の新興市場も緩やかに拡大するという。

 それでもエネルギー政策の変更された米国や日本の需要が伸び悩むため、2017年は全体としては需要は停滞すると見込む。中国市場も、楽観的に見ても2016年と同じ水準を維持する程度と見ている。

 太陽光発電のグローバル市場は、初めて年間の成長率がゼロとなり、パネル市場は踊り場になるという。EnergyTrendは2016年の市場規模63.4GWが、わずか0.3GWだけ増加し2017年に63.7GWになると予測する。このような状況は、2017年だけでなく2018年にも継続する可能性があるという。
 
 EnergyTrendは、今後の半年間で市場が底を打った後、季節的な需要と中国市場の部分的な回復によって相場がわずかに上昇に転じるとみる。しかし、供給の増加が根強く価格の下押しトレンドを維持するため、2016年の第4四半期から2017年にかけては買い手市場が続くとみている。