Power to Gas実証事業の概要
Power to Gas実証事業の概要
(出所:NEDO)
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 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と豊田通商、NTTファシリティーズ(東京都港区)、川崎重工業、フレイン・エナジー(札幌市)、テクノバ(東京都千代田区)、室蘭工業大学の7者は、北海道で水素エネルギーによる「Power to Gas」実証事業を11月下旬に開始する。

 「Power to Gas」とは、再生可能エネルギーによる電力(Power)を水素(Gas)などのガス体燃料に転換するシステム。気象条件により発電量が大きく変動する風力発電に対して、安定的に運用できる利点がある。電力需要を予測して安定的に売電するとともに、有効活用の難しい不安定電力を一旦水素に変換して輸送・貯蔵することで燃料として有効活用するシステムの技術開発を行う。

 NTTファシリティーズが開発した風力発電量予測システムで翌日の風況・発電量を予測し、その情報をもとに川崎重工業の制御システムを用いて安定電力と水素製造に用いる不安定電力を計算し、水電解装置で水素を製造する。

 製造した水素は、フレイン・エナジーの開発した水素添加装置を使ってトルエンと反応させてMCH(メチルシクロヘキサン)を生成し、需要先に陸上輸送する。需要地では、脱水素装置でMCHを水素とトルエンに分離し、水素とLPG(液化石油ガス)を混焼して熱利用する。

 7者は同事業を2015年2月から開始し、これまでビジネスモデルの設定や実証実験の計画立案、各設備の設計・製作、試運転を通した各設備の性能検証を進めてきた。実証事業では、すべての設備を稼働させ、一連のシステムとビジネスモデルを実証する。実証場所は、北海道苫前町にある町営の風力発電設備である夕陽ヶ丘ウインドファーム・風来望になる。