売電力率100%換算と実績日射発電電力予想量
売電力率100%換算と実績日射発電電力予想量
(出所:弘前市)
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2016年2月11日のパネル監視画像。徐々にパネルの積雪が滑り落ちていることが確認できる
2016年2月11日のパネル監視画像。徐々にパネルの積雪が滑り落ちていることが確認できる
(出所:弘前市)
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 青森県弘前市は、「弘前市雪国対応型メガソーラー」実証事業の1年間の成果を公表した。この事業は、市有地を活用して豪雪地域におけるメガソーラー(大規模太陽光発電所)の事業性を検証するのが目的。報告書によると、積雪の影響は年間発電量の約2.4%に留まり、「豪雪地帯であっても、対策に留意することで太陽光発電は導入可能」と結論づけた。

 実証事業は、弘前市がひろさきアップルパワー(弘前市)と協定を結んで実施した。市有地である埋立処分場跡地を無償で使用許可し、同社が資金調達してメガソーラーを建設した。固定価格買取制度で売電しつつ、運用状況を分析する。

 パネルの設置容量は1.725MW、連系出力は1.5MWで過積載比率は115%。太陽光パネルはトワダソーラー製(250W/枚)を6900枚設置した。パワーコンディショナー(PCS)は富士電機製(750kW機・2台)を採用した。コンクリート2次製品の置き基礎に単管パイプを組み立てた架台を固定した。パネルの設置角は30度、地面からパネル最低部までの設置高は約1.8mとした。総工費は4億円。

 想定年間発電量は、約140万kWhを見込んだ。これは、冬季の3カ月間を発電量ゼロと仮定している。昨年7月7日から今年7月6日までの年間発電実績は、165万7000kWhとなり、計画値に比べて16%上振れした。ただ、設備利用率は12.6%に留まり、全国平均の14%を1.4ポイント下回った。

 弘前市では、売電力率100%換算(実績の力率は85%)と実績日射発電電力予想量との差を降雪による影響と推定した。発電実績165万7700kWhに対し、売電力率100%換算値201万3793kWh、実績日射発電電力予想量201万9749kWhで、その差は4万8000kWhとなり、年間発電量の2.4%に留まったとしている。

 こうした結果を元に同市は、「冬季に発電できるような積雪対策を行えば、岩木山麓の豪雪地帯であっても十分な発電量を確保でき、太陽光発電の導入は可能」としている。

 今回、実証で建設したメガソーラーでは、設置角30度、設置高1.8mという積雪に対応した設計のほか、太陽光パネルのストリング(直列回路)結線を、上段・中段・下段と横渡り接続することで、下段に雪が残った場合のロスを最小化した。また、積雪状態を監視カメラで監視・記録し、状況に合わせてパネル面の雪を除去した。